第7話 ゼレンスキーの主張を代弁するスクエニ「モスコヴィア問題」

どうもこんにちわ。間が空いてしまいましたが、久しぶりの投稿です。ネットでロシア絡みの記事を見てましたら、ゼレンスキーがロシアを「モスコヴィア」と呼ぶ話を見つけました。ロシアというのは、つまりキエフ・ルーシにルーツを持つ名前です。ルースキーをギリシャ風に読むと「ロシア」になります。


ウクライナこそ、東方正教を最初に受け入れたキエフ・ルーシの末裔と主張するゼレンスキーにとっては、本当の「ロシア」はウクライナなのであって、タタールの軛の影響下にあった「モスクワ大公国(モスコヴィア)」ではないと。


如何に「モスクワ大公国」がモンゴル帝国の文化的影響を受けてるのか、そーゆー事を主張してるわけです。


で、私はやたらとトライアングルストラテジーの中で、主人公の国はウクライナを仄めかす内容(青と黄色という西側にはない色彩感覚の国旗、ドニエプル川が流れるキエフのような主人公の国の地形)なのにも関わらず、東方正教を信じるウクライナではなくて、ヴァイキングや白人至上主義を仄めかす内容なのに違和感を持ってました。


テレビでの報道で「ウクライナが西側陣営」などと報道されても、ウクライナの人達の頭の中はどう考えても西側ではないと思っていたので、目を白黒させる事が多かったです。


端々にトライアングルストラテジーでは、キエフ・ルーシは白人の国だという事を主張するようなエピソードが端々に見えて来ました。


まず、主人公の乗る竜骨の平底船です。あからさまにヴァイキング船です。キエフ公国にしても、モスクワ大公国にしても北方から来た人達の血統が入ってるので、そーゆー要素があるのはあながち間違いでもないですが、(リューリク朝もそうです)この主張大変問題なのは、「アゾフ大隊」という白人至上主義のイデオロギーを持つネオナチの主張と同じだという事です。第二次大戦中の独ソ戦の時のバンデラ主義ですよ。


ウクライナを価値観が西側と同じでもないのにも関わらず、西側陣営という事にして、キエフ・ルーシは白人の国、モスクワ大公国(モスコヴィア)はモンゴル帝国の文化的影響を受けた有色人種の国だと主張してるのです。ロシアとウクライナとベラルーシは親戚関係の人が沢山いる歓迎なのにも関わらず。


FFシリーズに時々登場する、アルベド族やバルフレアなどの「金髪のユダヤ人」ですが、やはりこのあたりにも白人至上主義のイデオロギーがチラチラ見えますね。


アゾフ大隊と同じ主張して大丈夫なんですかねぇ〜スクエニさーん!


これを主張するのは、プーチンの言ってる「ナチ」という主張を認めてしまってるようなもので、ここを認めると「ウクライナかわいそう!」という国際的な世論の建前が蒸発しかねない事になる。


クレムリンの主張を裏付けるのはかなりヤバくないですかぁー?


確かにウクライナやベラルーシの人達にはロシア本国に比べると金髪の人は多い印象がありますが、だからといってウクライナは白人の国というのはかなり違和感がある。


そして、もうひとつ隠れてるのはロシア正教の古儀式派の事です。ロシア正教の古儀式派というのは、キエフ公国時代から伝わった古い東方正教の流れを守ってる人です。1666年のニーコンの総主教による改革に反対して弾圧されてたのですが、少数派でよく働くせいか帝政ロシア時代は、中小企業経営者だったのです。ソビエトというのは、彼らの集会所の事で、もしかしたらロシア革命というのは科学的無神論を掲げた共産革命ではなくて、帝政ロシアに弾圧されていた彼らの宗教運動ではなかったのか?という事が旧ソ連崩壊後に研究されるようになりました。宗教がタブーではなくなったからです。


このスクエニの白人至上主義のイデオロギーにはロシア正教古儀式派が隠れてるような気がするのです。


古いロシア=古儀式派=北方の白人的という方程式がありそうです。


ロシア正教の古儀式派の有名人と言えばドストエフスキーの小説「罪と罰」の主人公のラスコーリニコフです。ラスコーリニコフという名前からわかるように、ラスコル(分離派)というのはロシア正教会から見たら蔑称です。


日本のアニメやゲームでは異端はウェーイしてますが、社会の一体性が強いロシアでは分離派という蔑称はかなりのイメージがよろしくない。反社会性みたいなニュアンスがある。


この古儀式派の人達の行動原理は勤勉です。一般のロシア人とそこが違います。ロシアで共産革命が起きても、一般のロシア人は古儀式派ほど勤勉ではなかったので、そこでスターリンがキレたかも知れません。


古儀式派の人達は別の作品の「クジラの子らは砂上に歌う」にも出てきます。


古儀式派の人達の気質が一般のロシア人ではなく、北欧人に近いからこそ、古いロシアの伝統(共同体主義)を守ってる古儀式派の人達は自分たちのルーツなんだという主張が聞こえて来そうです。


これはまさに「アーリア人侵略説」のロシア版です。


日本の超古代なんちゃらや、サンカなどもこの手のかも知れませんね。


ウクライナを無理矢理にでも西側「という事」にしときたいのですかね。


そこかしこに、スクエニの作品のグランド・デザインはファシズムなのです。ウクライナは白人の国という、バンデラ主義なのです。


というか、ウクライナはポーランドの一部でしたが、それを分割したのはプロイセンです。主人公の国のモデルはプロイセンでもありますから、ウクライナの国の主権どころかドイツの植民地扱いしてます。


スクエニは暗にトライアングルストラテジーの中で、第一次大戦前のポーランドの沿岸部やバルト海沿岸地域の失地回復主義を主張してますので、どれほどドイツを偏愛してるのか。


まるでトランプの取り巻きのクリスチャン・シオニストのような有り様です。


まるでサイクスピコ協定による国境線を否定するISのような事を主張するスクエニ。


ほんとスクエニには謎が多い。


ちなみに、トライアングルストラテジーでは、体験版ではあっという間にキエフを連想させる主人公の国は陥落するのですが、リアルは持ちこたえましたよね?


それはウクライナ人が英雄的な行動したからではなく、プーチンが軍を差し戻したからだと、ベラルーシの大統領のルカシェンコがテレビインタビューに答えてました。


つまりウクライナ人の英雄的行為というハリウッド映画のようなストーリーは嘘ぴょ〜ん!だったのか!


また、2014年のユーロマイダン革命でも、活動家に興奮剤入りの飯を配ってたそうですしね。


西側の綺麗事の裏ヤバすぎ。


「クジラの子らは砂上に歌う」に出てくる主人公達は、砂クジラという所に事実上の島流しにあってる事が判明するのですが、この島流しって、島が多いギリシャ世界などの東方正教会の異端対策です。西欧キリスト教と違って東方正教会は異端に対しては火炙りはせずに島流しにする。


ネストリウス派のキリスト教徒のネストリウスさんも異論を唱えて島流しにあってますし、海がそこまで近くないロシアでは島流しの代わりに「シベリア送り」です。


中世から続く東方正教会の異端対策をやっていたのがスターリンでしたね。(スターリン自身はロシア革命に関わった大学出&西側の留学経験ありのインテリと違って、大学出ではなくてジョージア正教会の神学校出身)「シベリア送り」は帝政ロシア時代からあって、ドストエフスキーも政治犯でシベリア送りになってます。


この辺りの思考回路、科学的無神論を掲げる社会主義国になってもやり方変わんないのはどういうわけだろうか?西側の共産主義への嫌悪感は実はロシアの政治風土への嫌悪だったりする事が多いのではないか。(強権的=独裁とか、人権や言論の自由がないとか)

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