第3話 「チ。-地球の運動について-」のおはなし

今度NHKで「チ。-地球の運動について-」という地動説アニメが10月から放送されるそうですって。日本人地動説好きですよね。天正遣欧少年使節を描いたドラマでもやたらと地動説の話がプッシュされてたし、なぜにここまで地動説推しなのか?


この作品のうぃきを読んでみたのだが、ヨーロッパで地動説迫害されていた根拠ないとか書いてあった。ガリレオ・ガリレイもきちんと計算できるまで自説を発表するなとか言われてたの、その時代は計算ができなかったから根拠薄いとか思われてた臭い。つまりきちんとした計算できたら発表してええの?このあたり日本人の感覚ではわからん!


その当時は計算技術が貧弱で地動説、あんま説得力なかったそうな。


で、舞台がP国とか書いてあったけど、15世紀の話なのでチェコのプラハのカレル大学あたりかな?と妄想してたら、ポーランドだった。スクエニのポーランド推しといい、ポーランドを偏愛する人たちは、アメリカのトランプ政権支持層の周りにいるイスラエルを偏愛する人並みにアニメやゲームの世界にいそうなワークニ。


佐藤優の「プラハの憂鬱」に書いてあったのだが、ナショナリズムが強く過去にフス派の件を起こしたチェコは教皇庁の覚えがよろしくないと。2011年の国勢調査でも無神論者の割合が多いのがチェコという国。1991年まで同じ国だったスロバキアはカトリックが国教というほど信仰篤いのにな。


社会主義時代の国勢調査では共産党に媚びてると思われてたけどそうではなかったという。


何だかルターの宗教改革がリア充華々しい印象なのでわかりにくいのだが、フス派の宗教改革は前座みたいなものではなくて、それこそ「プレ宗教改革」とも呼べる事件だったと。だから教皇庁の覚えがよろしくないのはそのせい。


ワークニの謎のポーランド推し活にもチェコ共和国の教皇庁の覚えの悪さはバッチリ反映されてしまうのですよ。


チェコのナショナリズムが強くなると、ヨーロッパの中央に位置する地域のパワーバランスが悪くなるのでね。教皇庁どころか、大陸ヨーロッパに手を突っ込んでロシアを牽制したいイギリスにも都合が悪い。だから、第一次大戦後にできた人工国家のチェコスロバキアという国は都合が悪い。


なので、ナチス時代の傀儡政権は、ダイレクトに教皇庁の手羽先そのまんまな、アンドレイ・フリンカというカトリックの司祭が率いる「スロバキア人民党」という政党を作って、チェコスロバキアを解体したのは有名な黒歴史。ついでにスロバキア方面に沢山いた旧ソ連に併合されたがった共産主義者も牽制。(戦後は彼らはスターリンに旧ソ連に併合される事を望んだが、ヨーロッパと直に国境を接するのが嫌で断ったらしい)


この東方に拡大したナチズムというグランドデザインに基づいてワークニの謎のポーランド推し活があるのだ。覚えておけ。これをもっと東に進めると、ウクライナのネオナチやバンデラ主義に繋がる。


戦後、フルシチョフのウクライナの後始末といい、言い出したらキリないのでこの辺で。フルシチョフは第二バチカン公会議を招集したヨハネ23世とも親和的だったそうなので、ウクライナの後始末を生ぬるくやってしまったのも、西側の手羽先のナチスへの妥協なのだろうなというのは容易に想像がつく。


ポーランド推し活はファシズムのグランドデザインに基づいてるのだ。誠にきな臭い話過ぎて反吐が出る。


さて、話を地動説に戻すと、地動説何が問題なのか?って話。


ちなみに古代から地動説はアリスタルコスなどで知られてました。地球球体説もです。フラットアースのようなインチキには注意しましょう。


それで、中世ヨーロッパの価値観が地動説いけないんだみたいな思い込みがありますが、実は古代からローマ帝国の国家イデオロギーであるストア派の哲学者は天動説の世界観に神の秩序のようなものを見出してました。


これは日本語でも読めるキケロー「スキーピオーの夢」でも確認ができます。


なので、中世ヨーロッパが地動説ダメというよりも、アリスタルコスの地動説が知られていた古代から、ローマ帝国の国家イデオロギーに抵触するので、敢えて地動説あんま受け入れられなかったのではないか?


アリスタルコスはローマというよりもギリシャ語圏の人ですよね。サモス島出身だし。


同じくローマ人にもプラトンやピュタゴラス派などで輪廻転生が知られてましたが、ローマ帝国の国家イデオロギーであるストア派の哲学ではあんま輪廻転生好きそうではない。


地動説がなぜダメなのか?それは政治的イデオロギーの選択ではないのか?


それと同じく、現代からするとアクロバティックな議論に見えるニケーア公会議の三位一体論ですら、なぜそれが有効だと採択されたのも、やはりストア派の哲学を国家イデオロギーとするストア派の内外論理からすると正当なものだったのです。


ストア派の哲学では、この世は諸行無常ですが唯一、「天」のみが永遠性を持っていて、神の秩序が存在してると考えられてました。


その天上の秩序を模して地上に秩序(何だか神の国みたいです。でもキリスト教国教化以前の、しかもキリストが生まれる前の思想ですよ)を打ち立てる。それがローマ帝国の目標なんです。


国家の根幹思想を否定するからダメなのかも?


アウグスティヌスの「神の国」と何だか思考回路似てますねー。というか、これがわかるとアウグスティヌスの「神の国」と「地の国」の二分法が肌感覚でスッと理解できる。


だからその理論に抵触するからこそ、地動説よりも天動説だったのではないか?


キケロに影響与えてるのはポセイドニオスだった話も強いかもなー


そのアニメ楽しみです。


主人公サイド、ポーランドってユダヤ人が多いところなので改宗ユダヤ人って裏設定ありそうで怖い。改宗ユダヤ人がキリスト教世界で学問で秀でてる話はよーあるので。


ええ、カール・マルクスを連想。


天動説にこだわりのない合理主義、何となくユダヤなのか?


ユダヤ教の「天」であるシャマイムはマイム(水)という言葉があるように天動説こだわりは少ないかな?世界観がかなり違う。


FF10に出てくるアルベド族も科学技術にタブーのないユダヤ人なのだろうし。てか、欧米の科学者に改宗ユダヤ人のルーツを持つ人かなりいる話、よく知ってるな。ゲームクリエイターの教養は本当に凄い。


イスラエルがIT技術先進国みたいな、日本企業のセキュリティも担当してたみたいな話。

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