14
湯浴みを手伝ってくれたヨウカが悲鳴を上げた。
「ルウ様の白い肌に痣や傷がいくつも……!」
「この間出来たのもある……かな?」
「許せません! 式までには治れば良いのですが。念のため傷を隠す化粧品がないか探してみますね」
「……うーん」
婚儀は予定どおり行われるのかな?
一度諦めろと言われるんじゃないかな?
浮かない表情の私にヨウカは何を思ったのか胸の内を語り始めた。
「私はルウ様を最高の状態にして送り出すつもりですからね。周りがなんと言おうが、その美しさに魂を奪われろ!と思っています」
「へ?」
「見る目のない奴らを見返してやりましょう!」
悪戯を企てている子どもみたいに嬉しそうに笑う。
「そんなの……私なんて……」
「短期間で厳しい
信じられない話だった。
いつもヨウカは不安だと心配しているし、
「みんなルウ様の存在が異端で戸惑ってはいますが、私はロカ様が選んでくれたのが貴女で良かったと思っています」
共に過ごしたのは短い
全ての者が反対している訳ではないんだ……。
「さあ、ロカ様の元へ参りましょう」
身支度を終え、部屋へと戻る。
待っていたロカがほっとしたような顔で微笑んだ。
「僅かでも離れていると不安になる」
吸い寄せられるように体を密着させて隣へと座る。血の匂いが消えて、いつもの匂いになったことに安心する。
でも、ずっとこうしてもいられないから。
「……聞かせて」
緊張から声が掠れてしまった。
ロカの手が頭を撫でる。
「本当にお前心配することは何もないんだ」
レーラが同行していた経緯、協力者によって飲み物に薬を入れられていたことを説明される。
「怪しい動きには気付いていた。レーラのことは寝室に忍び込んできた時点で返り討ちにした」
「……返り討ち……?」
「詳細は聞かせたくない。お前には嫌われたくないからな」
聞かせられないような内容らしく、何が楽しいのか唇が弓なりになっているがその表情はどこか恐ろしかった。たぶん、聞かないほうが賢明だ。
「生かしてはおいたが、二度と人前には出てこないだろうな」
「……」
さらりと言うことではないと思う。
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