第11話 国家転覆と新たな秩序の幕開け

エリザベートの寝返りにより、寛人たちの反乱計画は一気に加速した。

彼女の持つ軍内部の人脈と情報網が、大きな力となる。


「これが、王城の詳細な見取り図だ」


エリザベートが大きな地図を広げる。


「ここが国王の執務室...そしてここが玉座の間ね」


リリアが熱心に地図を見つめる。


「むげんちゃん、どうする?」


ミーナが不安そうに寛人を見上げる。


寛人は腕を組み、深く考え込んだ。

そして——


「よし、決めた」


全員の視線が寛人に集中する。


「俺たちで、国王を直接説得する」


「えっ!?」


驚きの声が上がる。


「危険すぎるわ!」リリアが反対の声を上げる。


「そうだよ、むげんちゃん。捕まっちゃうよ!」ミーナも心配そうだ。


しかし、エリザベートは静かに頷いた。


「...分かった。その作戦で行こう」


「エリザベート!?」リリアが驚いて声を上げる。


「彼の力を見た。それに...」エリザベートは寛人を見つめる。「彼の目を見れば分かる。必ず成功させるという決意が」


寛人は感謝の念を込めて頷いた。


「ありがとう、エリザベート」


作戦の詳細が練られ、いよいよ決行の日を迎えた。


夜の帳が下りた王城。

寛人たちは、エリザベートの案内で内部に潜入する。


「ここを右に...そして階段を上がって...」


エリザベートの指示に従い、一行は慎重に進む。


ついに、彼らは玉座の間の前に到着した。


「準備はいいか?」


寛人が仲間たちを見回す。

全員が緊張した面持ちで頷く。


「よし...行くぞ!」


寛人が大きく扉を開く。


ガチャン!


「なっ...何者だ!?」


玉座に座る国王が驚いて立ち上がる。


「陛下、話し合いに参りました」


寛人が一歩前に出る。


「馬鹿な!警備兵はどうした!?」


国王が叫ぶ。


「心配には及びません」エリザベートが冷静に答える。「彼らは...一時的に休憩中です」


「エリザベート!?貴様、裏切ったのか!」


国王の顔が怒りで真っ赤になる。


「裏切ったのはどちらですか、陛下」


寛人が静かに、しかし力強く言う。


「民を苦しめ、魔王軍と手を組む。それが王の為すべきことですか?」


「な...何を言う!」国王が動揺を隠せない。


「証拠はここにあります」


リリアが書類を取り出す。


「これは...!」


国王の顔から血の気が引く。


「陛下、まだ遅くありません」


寛人が真剣な眼差しで国王を見つめる。


「共に、この国を...いや、この世界を良くしていきませんか」


静寂が訪れる。

国王は、寛人たちを見、そして自分の手を見つめた。


「私は...何てことを...」


国王の声が震える。


「陛下...」エリザベートが静かに呼びかける。


「まだ、やり直せます」


長い沈黙の後、国王はゆっくりと顔を上げた。


「分かった...お前たちの言う通りだ」


寛人たちの顔に、安堵の表情が広がる。


「しかし」国王が続ける。「魔王軍はそう簡単には引き下がらないぞ」


「大丈夫です」寛人が微笑む。「俺たちがいます」


こうして、鉄槌王国に新たな時代の幕が開いた。

国王の公式謝罪、政治体制の改革、そして魔王軍との決別。


街には久しぶりの活気が戻り、人々の笑顔が見られるようになった。


「やったね、むげんちゃん!」


ミーナが嬉しそうに寛人の周りを飛び回る。


「ああ、でもこれは始まりに過ぎないんだ」


寛人は遠くを見つめる。


「次は...」


リリアが言葉を促す。


「ああ、次は他の国々だ」


寛人の目に、強い決意の色が宿る。


「俺たちで、この世界を変えていくんだ」


仲間たちが頷く。

彼らの前には、まだまだ長い道のりが待っている。

しかし、彼らは恐れてはいなかった。

なぜなら、彼らには無限の可能性があるのだから。







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