第5話 ミーナとの奇妙な遭遇
リリアとの一件から数日後、寛人は村の近くの森で休憩していた。
木々のざわめきを聞きながら、彼は目を閉じる。
「ふぅ...平和だなぁ」
異世界に来てから初めて、寛人はゆっくりと休息を取っていた。
しかし、その平穏は長くは続かなかった。
「むげんちゃーん!」
「うわっ!」
寛人の目の前に、ピンク色の髪をした小柄な少女が突如として現れた。
そして驚くべきことに、彼女の背中には蝶のような羽が生えていた。
「びっくりした?びっくりした?」
少女は、クスクス笑いながら寛人の周りを飛び回る。
その姿は、まるで妖精のようだった。
「き、君は...妖精?」
「正解!私はミーナ。この森に住んでる妖精よ」
ミーナは寛人の鼻先に顔を近づける。
「むげんちゃんのこと、見てたの。すっごく強いんだね!」
「む、むげんちゃん...?」
寛人は困惑しながらも、微笑む。
この世界にも妖精がいるのか、と新鮮な驚きを感じていた。
「ねえねえ、むげんちゃんはどこから来たの?」
ミーナの質問に、寛人は少し考えてから答えた。
「実は、俺は異世界から来たんだ」
「えぇ!?すごーい!」
ミーナの目が星のように輝く。
「それで、どんな世界なの?魔法はあるの?妖精はいるの?」
質問攻めにあう寛人。
彼は笑いながら、自分の世界のことを簡単に説明した。
「へぇ...魔法も妖精もいない世界なんだ」
ミーナは少し寂しそうな顔をする。
「でも、色んな便利な道具があるんだね!」
寛人の説明に、ミーナは興味津々だった。
「ねえむげんちゃん、この世界のこと、もっと知りたくない?」
ミーナの提案に、寛人は頷いた。
「ああ、ぜひ教えてほしいな」
「じゃあ、私が案内してあげる!」
ミーナは嬉しそうに宣言する。
こうして、寛人とミーナの奇妙な冒険が始まった。
ミーナは寛人を森の奥深くへと案内し、この世界の不思議な生き物や植物を紹介していく。
「ほら、これは"夢見の花"っていうの」
ミーナが指さす先には、淡い青色の美しい花が咲いていた。
「この花の粉を吸うと、自分の望む夢を見られるんだって」
「へぇ...面白いな」
寛人が感心していると、突如ミーナの表情が曇った。
「どうしたの?」
「実はね...」
ミーナは真剣な顔になり、寛人に近づいてきた。
「この森に最近、おかしな気配があるの」
「おかしな気配?」
「うん。何か...邪悪なものが近づいてきてる感じ」
寛人は眉をひそめる。
ミーナの言葉が、彼の中の何かを呼び覚ました。
「それって...もしかして」
「うん、多分そうよ。魔王軍の気配」
二人の表情が引き締まる。
「むげんちゃん、この村を守ってくれる?私も協力するから!」
ミーナの真剣な眼差しに、寛人は頷いた。
「ああ、任せてよ。絶対に、この村は守り抜くさ」
こうして、寛人とミーナの奇妙な同盟が結ばれた。
彼らはまだ知らない。この出会いが、世界の運命を大きく変えることになるとは——。
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