第3話 村での生活と現代知識の活用

村長の家に案内された寛人は、まず異世界の食事にありつけることになった。


「さあ、召し上がってください」


テーブルには見慣れない料理の数々が並んでいる。

肉や野菜はなんとなく分かるが、調理法や味付けが全く異なっていた。


「いただきます」


恐る恐る口に運ぶと——


「おお!これは...うまい!」


思わず声が出る。

見た目は奇妙でも、味は絶品だった。


「気に入っていただけて何よりです」

村長が嬉しそうに微笑む。


食事を終えた後、寛人は村の様子を見て回ることにした。


(うーん、なんというか...中世ヨーロッパって感じかな)


石畳の道、木造の家々。

しかし、よく見ると魔法のようなものも使われている。


街灯は魔法の光で灯され、井戸からは魔法で水が汲み上げられていた。


(面白いな...でも、もっと効率的にできそうだ)


寛人は自分の持つ現代知識を思い出していた。


翌日、寛人は村長に提案をした。


「村長さん、井戸の仕組みを改良させてもらえませんか?」


「ほう?どのようにかね?」


寛人は簡単なポンプの仕組みを説明し、さらに浄水システムについても提案した。


「なるほど...確かにそれは便利そうだ」

村長は興味深そうに頷く。


「ただ、材料が...」


「大丈夫です。僕に任せてください」


寛人は自信たっぷりに胸を張る。


その日から、寛人は村の職人たちと協力して新しい井戸システムの製作に取り掛かった。


"全知全能の智"のおかげで、寛人は瞬時に必要な知識を思い出し、さらには現地の素材に合わせてアレンジすることもできた。


「すごいな、お前さん」

「こんなものが作れるなんて、まるで魔法みたいだ」


職人たちは感嘆の声を上げる。


数日後、新しい井戸システムが完成した。


「さあ、試してみましょう」


寛人がレバーを引くと——


シューッ


きれいな水が勢いよく噴き出した。


「わぁ!すごい!」

「こんなに簡単に水が...!」


村人たちから歓声が上がる。


「これで水汲みの手間が大幅に省けるし、水質も良くなります」

寛人が誇らしげに説明する。


村長は深く頷いた。


「本当にありがとう。お前さんのおかげで、村の生活が大きく改善されそうだ」


その後も、寛人は様々な改善案を提案し、実行していった。


農業技術の向上、簡易的な下水システムの構築、風車を利用した製粉機の開発...


村は日に日に発展し、人々の暮らしは豊かになっていった。


「無限様は、まるで伝説の勇者のようですね」

ある村人が感激して言う。


「いえいえ、そんな大層なものじゃありません」

寛人は照れくさそうに答えた。


(勇者か...)


寛人は空を見上げる。

彼の脳裏に、神々との約束が蘇った。


(そうだ...俺には、この世界を救うという使命があるんだ)


寛人の目に、決意の色が宿る。

彼の冒険は、まだ始まったばかりだった。

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