第4話

恋人だった川崎梓が寝取られた。しかも梓自体は抵抗しておらず、仲もよさげだった。社会的に抹殺してやるというつもりはないが、あの二人が今後生きていく上でも、相応の報いが必要だろう。


差し当たっては、仲間が必要である。あの先輩頼ってみるか...。

俺は「普通」に暮らすため、テストは60ぴったりにしている。二週目のテストなんぞくっそ楽勝なのである。


いくら馬鹿でも基礎から人の二倍時間をかけたらさすがに理解できるし、将来を生きるため、1+1の時代ではある程度予習なんかをし、

時間がありすぎたため、高校の範囲は終わっており、

どの学部かによるが、大学の範囲も終わっている。


だが、一年一学期では、配点が全く分からない。配点が書かれたり、言われたりする教科もあれど、ほとんど分からない。

そのため、名前だけを貸している、文芸部の先輩に過去問を貸してもらったことがあった。でもなーあの先輩ちょっと苦手なんだよなー。まあ頼れる人もいないし、行くしかないか。そう思い、文芸部に足を向けた。


「失礼しま...あ、誰もいないのか。」

相変わらず自由だなこの人たち...。転がっている漫画やボードゲームなどを見てそう思う。そう、文芸部というのは飾りで、裏では遊び部と呼ばれているらしい。これ自体は先輩が笑いながら話してくれた。その遊び部も同好会。ちなみに顧問はめんどくさがりな金山先生。だが、ここの高校のどこかの部活に入らないといけないという校則がなくなり、需要が大きく減ってしまった今。

運動部と兼部しながら、さぼりに来るためにここに来るというやつが多い。


「先輩今日くんのかな。」

「あれ!床がむっちゃ綺麗になってる!」

「あ、先輩久しぶりっす」

「え、亡霊?あの後輩がここに来るとは考えにくいよな。前だって過去問をとるために引き換えにしゃーなくって」

「勝手に俺を殺さないでもらえますか。」

先輩が自販機から買ってきたであろうお茶をおいてくれる。


佐原麗華。ロングな髪でクール系美人だが、他の人とはあまり話さないらしい。

先輩曰く冷姫と呼ばれているらしい。喋っている側からすれば残念美人にしか思えない。喋らなければすごい美人なのにね。そういう点では先輩と同じクラスの子たちが羨ましい。

「あ、あざす。」

「で、どうしたの?」

「実は...」



「なるほどねー。それで頼る人がいないから私を頼ったってわけだ。」

「まあそうっす。」

(あのクソアマぶち殺そうかな。)

「先輩何か言いましたか?」

「ん?何もないよ」

何か聞こえたような気がするが...。

「気のせいだよ。気のせい。で、君としてはあのk...あずさくんに一発報いたいわけだ」

「まあそうですね。」こういうところなんだよなー。この人は俺を見透かしたような行動をとる。お茶だってそうだ。なぜか二本持っていたし。

「あーそれはねー、あずさくんが寝取られている噂は聞いていたからね。」

「え?てか自然に心読まないでください。」

「君は顔に出るからねー。知らないのかもしれないけど、学校では有名だよ。神崎と歩いていたって」

「情報伝達早くないっすか。」

「まあこっちはまがいなりにも生徒会だからね。」

そう、この人がこんなにも自分勝手できるのは、生徒会副会長で次期会長最有力候補だからだ。そして、この人は俺にとっての要注意人物でもある。文芸部に名前だけでも入ったきっかけにもつながるのだが、俺はどうしても近くの高校がよかった。登下校が楽で、一分でも長く、学校に費やす時間を長くしたくない。そこの条件だけは譲れず、成績の反映が少ないとはいえ、中学のころも点数を60キープしていたため、成績的に足りなかった俺は、入試で本気を出すしかなかった。


その結果首席合格。うん、普通どこに忘れた?それを普通に辞退し、安心して入学生代表のスピーチを聞き終えた。そのあとが問題だった、なぜかそのことが先輩に漏れており、生徒会勧誘という理由つきでつけられていたのだ。

そしてめんどくさくなった僕は

「どこでもつけてきてなんですか?」

「いや何で君がその頭の良さを隠すのか気になってね。」

「ッッッ!」

「え、気づかれてないとも思ったのかい?で?なんでなんだい?」

「...それを普通に話すとでも?」

(まあ理由は知ってるんだけどね)

「なんか言いましたか?」

「いや?」

「まあ仮にだ。私は結構美人なんだよ。その美人が襲われたと叫んだらどうなる?」


美人、イケメンは問答無用でカーストトップに入れられる。美形=カーストなのだ。そのカーストトップとモブのいう事。どちらを信じるだろうか。だめだ。それをされた時点で俺の普通なんて木端微塵どころかなくなってしまう。


「分かりました。話しましょう。」


「なるほど。やっぱり」

やはりこんな理由納得できないだろう。普通に考えてあたまおかしいとしか言えない。

「君最高だね!最高の物語が見れそうだよ!うん、君、私の文芸部に入ってよ。」

「え、嫌ですけど」

「そこ断る流れじゃなくない!?今感動的な流れだったでしょ。私がいる部活だよ?

女子だけだよ?男子はうれしいんじゃないの?」

「嫌です。てか男子いないんだ...。」

「仕方ないか。」そう言うと叫ぶふりをする。

「それ脅しですよ!?生徒会として恥ずかしくないんですか!?何を言っても俺は...」

「よし!これなら大丈夫だ!」服を少し乱れさせてからそう言い大きな息を吸う。

「すぅぅーky...「分かりました。入ります。」」


「よし!これで君も文芸部だ。ちなみに兼部している奴がほとんどで、ここだけに入ってる奴私しかいないんだよ。しかも私は生徒会と兼用!」

「実際俺だけじゃないですか...。てか気になってたんですけど、先輩美人ですし、男子何でいないんですか?」

「美人//君分かっているじゃないか」

この人チョロインだな。

「まあ、そのうちわかるよ。」

これは後から聞いた話だが、彼女は二、三年生の中では変人でバスケ部で二、三年生とつながりのある梓から心配されたのは懐かしい話である。
















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