第3話
俺は一か月記念のプレゼントを買いにちょっと遠めのショッピングモールに来ていた。あの女子生徒が話した、一か月という区切りが気になって、これからもよろしくという意味も込めて、買いに来ていた。
なぜ遠めかというと俺らの街には近くにイエオンというショッピングセンターがあるが、だいたいそこで買ったものはだいたいわかり、ちょっと手抜き感が出るのだ。
何買おうかなと思いながらぶらついていると、ふとアクセサリーが目に入る。
ああいうのあずさが好きそうだなと思いながらも
「でもやっぱりお高いんでしょ?」という通販の定番台詞が頭に浮かんだ。通販ってもはやネタにされつつあるよな。
見るだけと思い、そしてパッと見るとやはり高かった。
「何か気になるものはありますか?」
そして流石は店員。客は逃さないということですぐに声をかけてくる。
「えっと、こういうのってどれくらいするんだろうと立ち寄ってみただけですので。」
「いやそんなこと言わず、恋人さんへの贈り物ですか?」なかなか引き下がらない。店員さんも必死なのか。でもさすが現代社会。彼女といわず恋人という多様性に気を遣った言葉。俺の前世では全くなかったぞ。
「お客様は恐らく高校生でしょうのでこんなものはいかがでしょう?」
1~5万円台のネックレスやリングなどが並んでる。このネックレスあずさに似合いそう。そう思いながら値段を見ると3万円。ううっきついけど...。あずさの笑顔が見れるなら安いものではないか。
逆に使うことないしな。友達ほぼいねえし。使うとしたらラノベぐらいだから。将来あずさに貢ぎつづけそう。でもちょっと一か月記念にネックレスは重いかな。
そう考えながら帰路につこうとしたところ、ある姿を目撃した。
「あz...!!」男、神崎誠。
は.....?どういうことだ...?頭じゃわかっている。でも気持ちが追い付かない。
何度も見間違いか確認する。でもあの後ろ姿は確実に...。
絶対に見間違えるはずのない人。川崎梓がそこにはいた。
あの嘘告のことは嘘じゃなかったのか。そうだ。初めからおかしいんだ。いくら昔から仲良かった幼馴染とはいえ釣り合ってない。キスもしなかった。最初から間違っていた。最初から嘲笑っていたのだ。
まさか転生しても騙されるとはな。会社の次は幼馴染か。いやこれも経験か。これも青春なのか。このネックレスも経験値に変わるのならいいだろう。これも「普通」の青春の1ページなのかもしれない。まあかといって黙ってみておくというのは経験にもストレス解消にもならない。「ネックレスどこに売ろうかな~」そう考えながら
写真をパシャリと撮り、さっさと帰った。
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