もっと大事なことがある
前回、
「子供を楽しませることも大事だけれど、もっと大事なのは、地域性。地方色が豊かな作品であることだった」
というところに決着しました。
その地域性については、応募作品それぞれに工夫してて面白い作品も多かったと思うの。
だからそれは対策的にはヨシとして。
一歩踏み込んで。
その場所選びには気を使うべき条件があったんじゃないかな? というのが今回のお話です。
ここまで触れてこなかったのですが。
このコンテスト最大の特徴は、募集されていた作品が「原作」だったということです。
小説のコンテストではない。
これ、大事なポイント。
押さえておきたいのは、ココ! コンテストの前提の部分です↓↓↓
*SARFさんがアプリを作るよ
*そのアプリは、ある一定の場所でだけ聴ける音声AR作品を楽しむものだよ
*音声を楽しめる場所は日本全国複数に置く予定だよ
*そのアプリは「耳で聴く肝だめし」になるよ
*だから、内容は作品を聴く場所に根差した地方色豊かなホラーがいいよね
*このアプリは夏休みに家族で楽しめるホラーコンテンツを目指すよ
そして、だ!
そのアプリ作品の元ネタになる作品を募集したのが、今回の「SARF×カクヨム短編こわ~いコンテスト」なわけですよ。
ちなみに、AR音声化にあたっては、SARFさん側によるシナリオ化がされることになっている。
要するに。
多少であれば文章やらなにやらに問題があっても構わない。ぶっちゃけ小説としての完成度が低くても全然いいのだ。
だって最終的に作品を完成させるのSARFさんなんだから。
小さいことは気にするな!
とにかく魅力的なストーリー、世界観を提示しろ!
このコンテストについて、ざっくり私がイメージしていたのはこんな感じのところでしたが。
たぶん大筋を外してないハズ。
こういう辺りを読み取って、「なーんだ、小説のコンテストじゃないのか。ぼかぁね、小説家になりたいのよ、小説家に」という御仁には、そもそも引っ掛かりのないコンテストだったわけですが。
私みたいに小説という形態だけにこだわらない、「えっ、ホラー? 音声化? なにそれ、その企画。面白いじゃーん( ゚∀゚)人(゚∀゚ )」ワヒョーとしちゃった単純なホラーファンとしましては。わりとウッキッキなコンテストでしたのよ。(え、私だけっすか?)
それに。
角川さんだけでやっている他の企画に比べても、エイベックスさんが噛んでいるというだけで、そのぶん広がりがある。冒険心をくすぐられる。
私、これ、魅力的な企画だと思うのです。
まあ、それはともかく。
やっぱりちょっと前提になる条件がいろいろ特殊なコンテストだったのかなー、とは思います。
なにを言いたいのかと申しますとね。
まずは、限定地域でアプリを開いて聴く作品であることを想定して、あらゆる選択をする必要があったのだ、ということ。
たとえば舞台を決めるにあたっても、そういう楽しみ方をする作品だということを考慮する必要があったということです。
とりあえず。
私が思っている、舞台に相応しい場所の条件をあげてみるよ。
*利便性。なによりもまず、アプリ起動のための環境が整っていること。観光地を含め、おそらく日常的に人の往来がある場所ならOKなんだろうと推察する。集客の意味では、ある程度、交通が便利な場所が望ましいだろう。また、想定対象は親子連れなので、昼間の利用が推定される。立ち入りに規制がある場所については昼間の利用が可能であること。
*スペースの確保。アプリを聴くために立ち止まった人が、通行人の邪魔にならないだけの空間的な余裕があること。
*安全性。アプリ聴者が作品鑑賞中にパニックになった場合などを想定すると、怪我などの事故が起こりにくい場所が望ましい。足場に不安がないこと。暗い場所、閉鎖的な場所も危険性が高いので避けた方が無難だろう。蛇足ながら、実際に心霊現象があると噂されるような心霊スポットも避けるに越したことはない気がする。
これらは私見であるからして、ホントのところは分からない。他にもあるかもしれないし。
とにかく安全性については、考慮してしすぎということはないと思う。
なにが怖いって!
この企画、家族連れを想定していることですよ。子供を含む複数の人間たちが「こわ~い」を体験しに来るわけですよ。
絶対うるさい。
そして、子供、暴れるぅー(断言!)
アプリを聴いていない人、地元の人や、通りすがりの人が迷惑するのは、やっぱり、よろしくないだろう。そういうトラブルの芽になるようなことは極力避けたいところ。
だいたい、白い目で見られながらコソコソ聴くんじゃ、作品を楽しめないと思うし。
そのためにも場所選び、大事なんじゃないかな。
もちろん、細かいところは制作運営をするSARFさんの側で調整してくれるんだろうし、コンテストに参加しまーすレベルの我々がそこまで考える必要はないのかもしれないけど。
そういう条件をクリアした地域の、その土地ならではのホラーが書けたら。それが一番いいんじゃないだろーか。
よっぽど話が面白ければ、場所換えの打診とかがあるのかもしれないけど。
コンテストだもん、そんな話は、そうそうないだろう。
となると。
場所のセレクトを間違えるのは、ものすごくもったいない。話の内容云々のまえに、落選の条件になる可能性がある。
逆に言えば、運営するうえで使いやすい場所というのがあるはずで。
それを探し当てるというのが、まず書く以前の段階の戦略として、本コンテストには必要だったのかもしれないのですよ。
さあ、ここで答え合わせの時間です。コンテスト入賞作品の舞台は具体的にどんな場所がなっているのかな?
私が読みとった限りでは、以下の通り。
駅 1件
温泉 3件
公園 1件
商店街 2件
城 3件
神社 2件
町なか 4件
山 2件
川 2件
海岸 1件
ちなみに1作品につき1カウント制で数えたので。町などの中を移動するうちに、中継点、またはたどり着いた先が神社だったというものも複数ありました。なので、それを含めると、神社の数はもっとあります。神社、人気っすねー。そのわりに仏閣はなかったという不思議。もっとも、これはたまたまだと思うけど。
なんにせよ。
町なか作品がメインで、そのなかに海や山などの行楽地が混ざっているイメージなのかなー。温泉とかも、どれも温泉街だったし。
で。
なんとなく予想はしていたけど、観光地が目立つ感じ。
なるほど。
コロナ禍からこっち、特に都市部では集客することが必ずしもお金になるとは限らない時代になっていると、まあ、個人的には実感しているんだけれど。
遠方からの集客が必要な観光地では、やっぱり人を集めたいんだろうし。今でも集客すればお金が落ちる環境にあるんだろうなー、とも推測をする。
観光地の、わけてもインバウンドの恩恵に預かっていないような地域にとっては、町おこし的に悪くない企画なのかもしらん。よう知らんが。
ま、ともあれ。
上記の入賞作品の舞台、どこも利便性、スペースの確保、安全性が担保できそうなラインナップではないでしょうか。
そして、なかなかのバリエーションです。
合格したものを並べてみると、どんなスポットが入選しやすい場所なのか。
なんとなーく分かる気がしませんか?
ついでなので。
入賞作品全21作、それぞれ都道府県、
どこの物語なのかを調べてみましたよU^ェ^U
(順番は公式サイトの発表順です)
*『群馬県 伊香保温泉石段街での怪異』 七倉イルカ
(群馬)
*『大阪城ではたくさんの人が死にはった。昔に何度か戦さがあったさかいに。』 烏目浩輔
(大阪)
*『棲魔の海辺』 烏目浩輔
(兵庫)
*『こんぴら参り「SARF×カクヨム 短編こわ~い話コンテスト」』 日間田葉
(香川)
*『「釣れますか?」 暗い流れの向こうから』 エモリモエ
(東京)
*『道後温泉の黄泉の扉』 すぱとーどすぱどぅ
(愛媛)
*『鬼怒川温泉物語』 和泉
(栃木)
*『山奥から聞こえてくる鐘の音』 淵海 つき
(茨城)
*『怪談の現場で語られる不穏な通話』 佐倉真理
(神奈川)
*『石炭切符』 香山 悠
(長崎)
*『お化け階段奇譚』 暇崎ルア
(東京)
*『バタフライエフェクト』 若奈ちさ
(兵庫)
*『後ろのミズキちゃん』 碧絃
(高知)
*『囁囀害(しょうてんがい)~異界までの謎々隠れんぼ~』 笹 慎
(千葉)
*『ウチデノコヅチ』 武江成緒
(兵庫)
*『日本では毎年約10万人が行方不明になると言われている』 烏川 ハル
(京都)
*『喰うか喰われるか!? これぞブレーメン』 桔梗 浬
(神奈川)
*『見返り柳で待つ少女 - Daruma-san fell down -』 BB ミ・ラ・イ
(石川)
*『城下町怪遊 〜落武者の怨霊に追われて〜』 平中なごん
(長野)
*『船場山の小たぬきは人を待つ』 おひさの夢想部屋
(熊本)
*『見えない友だち』 圭琴子
(北海道)
都道府県、みごとにバラけております。
2作品入っているのは人口が多いところかな?
がんばれ、東北!
すごいな、四国!
みたいなところもありつつも、全体のバランスが取れている印象です。
というか。
これ、わざとですよね?
わざといろんな県が舞台になるようになってますよね?
そういう視点に立つと。
先ほど見た、舞台になった場所そのものも、町だったり行楽地だったり、綺麗にバラけ過ぎているような気がします。
ということは?
もしかして、意図的に、全体で見たときにバリエーションがでるように、コントロールして入賞作品が選ばれている(゜ロ゜)?
よね???
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます