幸運の意味
「要するに、応募要項の読み間違いをしちゃってたのかな?」
というのが前回のお話でした。
読み違いというのは大袈裟でも、ニュアンスを取り違えてた可能性はある、と。
そもそも論。
「子供」ってナーニー(´・(ェ)・`)? ですよ。
「子供も大人も楽しめる」の、「子供」って具体的に何歳くらいなのか。分からなかったんだよね。
少なくとも私にはピンとこなかった。
法律的なくくりで言うところの幼児、児童、未成年?
そういう話じゃないだろう。
うん、それは分かる。
分かるんだけど。
対象年齢がイメージできなかったので、どこまで踏み込んでいいのか、その加減が分からなかった。
正直、今も分からん。
この「子供も大人も楽しめる」に対する解答を、「児童書のような作品」だと考えた人は多かったんじゃないかと思う。
なにしろ角川さんには児童書に「こわ~いシリーズ」があるのだ。
コンテストの冠に「こわ~い」と付いている以上、本棚のあの並びにあるような作品を期待されている、と解釈するのが自然なので。
私も、それが正解だと思っていたし。
今もそれが最適解だと思っている。
だってさ。
素晴らしい児童書は大人が読んだって素晴らしいものね。
家族みんなで、と考えたら、それが一番いいと思うんだ。
だとすると、ここにある「子供」とは、「こわ~いシリーズ」の対象者、おそらく小学生だろう。
と、思い至って。
うーん。私は唸ったよね。
なんていっても、さ。
「子供も大人も」と考えた時に。
求められているジャンルがホラーというのが、そのハードルを上げに上げていると思うんだよ。
恐怖という視線で見た時に、大人が怖がるものと子供が怖がるものは、絶対に違う。
だって、大人が見ている世界と、子供が見ている世界は違うんだから。
「子供も大人も」怖いと思える作品を……と考えると。
なかなか悩ましいお題だと思うのですよ。
これが「子供も大人も」泣ける話なら、私、全然書ける自信がある。
笑える話も、うーん、まあ、なんとか書けそうな気はする。
だけど。
恐怖は手ごわい。
手ごわいんですぅー( ;゚皿゚)ノシ
ついでに言うと。
「子供も大人も」の先にあるのは、おそらく家族で楽しむ
家族みんなで、となったらさ。子供も一人ではない可能性があるよね。
たとえば、兄弟の上の子は楽しいけど下の子は飽きてぐずっちゃうとかー。逆に、下の子はいいけけど上の子は「けっ、こんな子供だましにつきあってらんねーぜ」と不機嫌になっちゃうとかー。
そーんな光景が、嗚呼、目に浮かんでしまってさー。
しかも、こういう遊びって。
中学生くらいになったら普通に友達同士で出かけて行くよね?
んでもって、なんならホラーを好きなのって、ハイティーンだよね。
それは脳の発達過程から考えても、「ちょっと大きい子供」であるその辺りから、まあ、30代くらいまでがジャンルとしての本来のターゲットだと思うんだ。
子供だか大人だかが曖昧な、その辺りも視野に入れるべき?
そーんなことまで考えたらさ。
なにをどう書いたらいいのか、じぇーんじぇん分かりましぇーん!
と。
なりましたよ、私。
で。
悩んだあげく、決意した。
「わっかんないから、もーいーや。この「子供」については重視しない!」
これは「子供」を視野に入れないということではなく。
子供の目線にこだわって書く、ということを止めたという意味。
少なくとも、「子供だけ」が楽しい作品は違うんじゃないかな、と思ったの。
「大人も」楽しめなきゃ。
なので、方向転換。
「 大人も楽しめる児童書」を諦めて、「子供でも分かる大人の本」を目指すことにしたんです。
たぶん、それじゃ違うって言われるんだろーなー、と思いつつ。
だって。
これは私のプライドの問題。
自分が面白いと思えない作品を書く気はさらさらなかったノダ。
もちろん、これが仕事の依頼なら、アタマん中の引き出しの中身をひっくり返してでもムリヤリ書くよ? オーダー通りの児童書を。
でも、これコンテストなんだもん。
私、素人なんだもーん。
自分の作品だと思える作品しか書かない! ってワガママ、そりゃ押し通しますよ。
だって、それが素人の特権でしょ!?
とね。
腹をくくったのデスよ。はい。
結果的には、この決断、ある程度は正解だったんだと思うわけです。
ドンピシャの正解ではなかったかもしれないけど、とりあえず「主人公が子供でなくても不正解ではない」という意味ではセーフだった。
なにをゴチャゴチャ言ってるのかというと。
作品における主人公の年齢設定は、普通に考えてターゲット層とニアリーイコールであろうから。
私、主人公は子供、それも小学生でなければならん、と。
勝手に思い込んでいたのね。
でも。
読み返せば、確かに、募集要項に「小学生を主人公にせよ」とは書いていないんだよね。
いや、それは知ってた。
知ってたんだけど。
決めつけていたところが、やっぱり、あったんだと思う。
実際に、受賞した全21作品を見渡すと。
主人公が子供ではない(と、行動などから推察される)作品もちらほら。私が読む限り、下記4作品は大人が主人公だと思われる。
大人。おそらく、大学生設定くらいの読み取りなんじゃないかなあ。
『道後温泉の黄泉の扉』すぱとーどすぱどぅ
『怪談の現場で語られる不穏な通話』佐倉真理
『日本では毎年約10万人が行方不明になると言われている』烏川 ハル
『「釣れますか?」 暗い流れの向こうから』エモリモエ
解釈はいろいろあるだろうけど、大学生は「子供」の範疇に入らない、と私は思う。
ただ、同じ学生でも高校生設定は大人か子供か微妙かなあと思って上記カウントはしていない。
ちなみに私は応募作品を書くにあたって、子供を連れてくるパパママ世代を意識した。
だってスポンサーは親だもん。
どうせ視点を変えるんだったら、スポンサーにおもねっちゃうのもアリだよなー、と。
あざとい?
なんとでも言え。
実力不足は他のなにかで埋め合わせないとならんのだ。
まあ、そんなこんなのスタンスに着地して書いた拙作ですから。
そりゃ、入賞なんてムリムリー、と思ってたよね。
だけど、これだけ考えて出した結論なわけだし。間違っててもいいから応募しちゃえー。と、そんな感じだったわけです。
でも、その結果。
拙作が優秀賞をいただいたということ。
これは、もちろん幸運に依っているのだけれども。
そこには、このコンテストでの「決定的なマイナス」をたまたま回避できていた幸運も多分に含まれるような気がするのです。
つまり、「児童書のような作品ではないこと」は、マイナス点だったかもしれないけど、それによって落選となるような決定的なマイナスではなかった、ということ。
それを私は、決定的なマイナスだと考えていたので、勝手に自分のは落選作品だと思い込んでいたこと。
そういう誤解をしていたから、「拙作が入賞?!」とびっくりしちゃった……、と。
まあ、そういう話だったわけですね。
あー、わかった、わかった。
スッキリしたー。
本コンテストの全応募作品を読んだわけじゃないけど。自分が応募した朗読部門はおそらく大半は読んだと思う。(具体的には、ざっと見て、応募要項から外れて見えたものは読まなかった感じ。応募する気がなかった脚本部門はランキング上位30作+αくらいしか読んでないので、そこは自慢できない。)
読んだ作品群の印象から言って、私と同じ解釈、誤解をしていた応募者は少なくなかったんじゃないかと思うのです。
とはいえ、入賞作品の比率的にも、子供が主人公の作品のほうが圧倒的に多いわけなので。
正確には。
子供が主人公なのが望ましいけど、そうじゃないものでも可!
ということだったのかなー、と今は解釈しております。
結論。
私、「子供」に囚われすぎてたのかもなあ……。
応募要項で大事だったのは。
それよりも地域、「地方色の豊かさ」の方だったと思われます。
だって、テーマは「地域×ホラー」だってハッキリ書いてあるし。
そこは間違いない。
それについては私を含め、他の応募作品もかなり強く意識していたし、条件をクリアしていた作品がほとんどだったように思う。
だからこそ、応募作品を読むの、私、けっこう面白かったんだ。
地域の話って、それだけで普通に楽しいし。
じつのところ。
惜しくも入賞を逃したけど、個人的に「好き!」「すげー上手い!」「いい話!」という作品は少なくなかったのですよ。
コンテストの結果発表を見て「なんであの作品が入ってないの???」本気で戸惑ったような作品も。
だったら、それらはどうして入賞を逃したのか?
しつこいようだけど、自分の作品の入賞が不思議だったので(笑)
「落選してるけど、私はすごくいいと思う作品」と「ランキング上位だったのに落選している作品」については、一通り読み直してみたのね。
で。
いくつか仮説を立てたんだけど。
明暗を分けた理由のひとつとして「場所の選び方」に問題があったんじゃないかなー、と思ったんだよね。
というわけで!
次回から、「SARF×カクヨム短編こわ~い話コンテスト」傾向と対策、ぼちぼち本筋に入ってまいりますよーU^ェ^U引き続き、ゆるゆるっとお付き合いくださいませー
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