第9話 ちまき カタツムリ 気心
忍者の里で気心ちまきという食べ物が作られた。ちまきに混ぜた具によって具の特性をコピーできるというものだ。
そんな中で人気だったのが、カタツムリを混ぜた気心ちまきだった。
カタツムリというのはのろのろと動いているように見えるが、自分よりも小さな足場だろうと張り付いて進める力を持ち、自分よりも固いコンクリートも食べることのできる、一万本以上の歯がある。
忍者に重宝されたのは壁に張り付く能力だ、それによって困難なミッションを達成する忍者が増えたことによって気心ちまきのカタツムリバージョンはとても人気だった。
「しかし、気を付けよ、カタツムリを利用するものはカタツムリの業までも受け継ぐことになる」
どういうことかといえば、気心ちまきを食べすぎるな、ということだ。あまりに食べすぎて、体が変化しカタツムリと化してしまった忍者がいる。
「食べ過ぎなきゃいいんだよ」
「もう五個も食べてるじゃん、これからミッションだっていうのにカタツムリに化けられても困るぞ」
「平気平気、十個食べてもカタツムリにならなかったんだ」
そういって忍者のバディたちは海上の船にある要人を殺し、悠々と追手を躱しながらモーターボートで逃げていた。
もうすぐ埠頭につくといったところで、ロケットランチャーがエンジン部に被弾。モーターボートは爆発四散し、忍者たちは海へと消えた。
一人は助かったが、もう一人は助からなかった。
気心ちまきを食べすぎて、体が変質し、海水の浸透圧で溶けてしまったのだ。
では、どうして生き残った忍者がいるのか。
利用するものに利用されない、忍者の気心ができていたからだ。
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