第21話 次の依頼
「じゃあな、婆さん行ってくるよ!」
「はいはい。爺さま夕飯には帰ってきてくださいよ」
「あいよ!」
ゾフィーラ婆さんにいつも通り声をかけてから、ルミィと共に冒険者ギルドに赴く。
邪教徒関連の仕事がまたあるんじゃ無いかと、ルミィは気にしているようだが、意外とパッとしない仕事の方が多い。
神殿の普段いる区域はよっぽど放置されているのか、何日か空けていてもバレてない。
誰か来たとして、ゾフィーラ婆さんが誤魔化してくれてるとは思わないが、まあ何も無い所なので来る理由もそんなに無いだろうしな。
それでも一応時夫のランクは4に上がっていた。
「お、これなんてどうだ?警備員だって。
王立魔法学園のトーナメント戦で観客席を警備しろって。
結構実入りが良さそうだ」
掲示板を指さして、ルミィに聞いてみるが、ルミィの反応はイマイチだ。
「うーん……。ここ第一王子と聖女サリトゥが通ってるんですよね。
受けるとしたら、ちゃんと変装しなくちゃいけませんよ」
最近の時夫は、意外とそのままの見た目でもバレないので、冒険者としても登録をし直して活動している。
あの姿だとウィルに迷惑がかかりそうだからな。
登録し直しには少しイザコザがあったが、ルミィがギルドの長と話をつけてくれた。
神官ってやっぱり権力者なんだな。
「わかったって。でも、ウィルの姿は使えないし女の子の姿はちょっとまだ抵抗があるんだよな……」
新しい男の姿のバージョンも手に入れるなら、間違って本人や知り合いと出会ったりしないような人を選ばないといけないだろうし……。
「ひとまず髪や目の色だけ変えるのはどうでしょう?」
「なるほど……何色が良いかな」
この世界の人は結構髪の色のパターンが多い。青に緑に薄桃色も見た事がある。目の色も同様だ。
ただ、茶色系の髪と目が一番多いから、茶色いのが無難かな?
「赤いのとかどうでしょう?一応炎にも適正ありますし」
うーん……日本人的にあまり華美な見た目は……しかし、焦茶とかだと変化が少な過ぎるか?
「ちょっとやってみましょう!」
ルミィが変身ネックレスに何か調整を加えてくれた。
そして、変身してルミィに渡された手鏡を見る。
暗い赤髪に、赤茶色の瞳だ。
「よし、髪型も少し変えますよ!」
ルミィがノリノリで髪の毛に何かを塗ってくしゃくしゃにしてきた。
うーん……ちょっとチャラくなっちゃった気がするけど、そのうち慣れるかな?
オデコがさっきより見える感じになってる。
「うん。悪く無いと思いますよ。学園……なかなか教師も質のいい人揃えてますし、図書館が充実してるんですよね。時夫もそこで魔法を習えれば良かったんですけど……」
ルミィの表情がどこか懐かしげだ。
「お前もしかして通ってたとかか?」
「……ええまあ。もう何年も前ですけど」
……何年も前?そんでもって、この学園とやらは多分高校生あたりの年齢層が通う所っぽいから、と言う事は、
「ルミィ、お前もしかして……成人してる?」
時夫は疑いの眼差しでルミィを見た。ルミィはびっくり仰天、猛抗議する。
「何を今更!当たり前じゃ無いですか!私のどこをどう見たら未成年に見えるんです!?」
ルミィはほっぺを膨らませて、手をグーに握ってぷんぷん怒っている。
……そういうとこだぞ。
「ああ、悪かった。で、何歳だ?」
「23歳です!」
「え!?あ、そう」
まじかよ。もう少し下かと思ってた。若いというより言動が幼過ぎるというか。
「そう言う時夫は何歳なんですか!?私よりもしや年下ですか!?」
そういえばルミィに年齢は言ってなかったか。
「もうすぐ三十路だ。カウントダウン始まってる」
「うええーー!?そんなバカな!?」
ルミィが嘘だ嘘だと纏わりついてきて、顔を間近で見てくる。
それを手で払いのけつつ、受付に申請に行く。
「次はこれを受けます」
「はーい!承りました!」
狐獣人の受付さんが登録を進めてくれた。よし、行くぞ王立魔法学園!
◯リーポッターの世界が俺を待ち受けている!
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