36 ボスマラソンして休息という行動パターン

 43層での悪魔狩りは順調かな。

 バフも掛けられるし、物攻も魔攻も2人して高いからな。魔物を倒す回転率がとても良い感じで回っております。


 おかげで眼球に関しては十分な数が揃った。ただ心臓と脊髄は、出たとしても1つずつしかドロップしないから、どっちも不十分だ。

 なので心臓と脊髄はもう少し集めたい。


 ベリアルベビー、ミニサタン、プチデビル、レッサーデーモン辺りが稼ぎやすい候補。スロブファントムはハズレなので回避です。

 幸いスロブという名前の通りのろまな幽霊なので、回避は簡単。


「あ、なんか出たよ?」


「マノンはやはり"持っている"ということなんですね」


 レアドロップしてるじゃん。

 スロブファントムを移動ついでに、なで斬りしたら出すっていうの。

 勇者力の賜物だと先生は思います。


 瘴気のオーブ。

 デバフアイテムに使えるもので、本来はレッサークラスじゃないアンデッドからドロップするヤツ。


「効果は少ないですが、能力ダウンさせるアイテムが作れますね」


「きゅー」


「へえ? じゃあ先生の短剣に付けるのが良さそう」


「マノンのほうが良いと思います」


 ベニが剣に付加しようと言い出した。

 それもまた良いアイデアだ。

 切るたびに判定されるから連撃系とは相性が良いよね。


 僕には似た効果を発揮させる闇の精霊ヤヤがいるから、マノン用にしようと提案を出す。


「きゅー」


 ベニも賛成のようで、マノンにオススメしてくれた。


「そう? じゃあそうするっ」


「あ、おかわりが来ました。ベリアルベビー1、レッサーデーモン4。マノンはベリアルベビーを」


「はいっ」


 ジュカにバークスキン、ヤヤに闇の衣を頼む。

 ベリアルベビーの凍りつく息は、ダメージを加えたついでに行動阻害効果もある邪魔くさい攻撃だ。


 遅刻しそうで走ってる時に、いきなり路面凍結して転ぶくらい邪魔くさい攻撃。

 命の危険さえあるからな。


 だが二度目ましての出会い。

 マノンは雷撃を放って、先に行動を邪魔した。


 安心していられるので、僕はレッサーデーモンの処理を開始する。

 風の精霊ナギ水の精霊ハパで内部攻撃。

 吠えれば口から一気に送り込めるので簡単だ。


「簡単ですね……」


「え、っと? 苦戦はしないかな? 余裕があるかと言えば……チョットはあるよ」


 レッサーじゃない悪魔系を狩るか。

 そのほうが効率が良いし。


「どうしますか? マノン」


「私は敵の強さが分からないから、じっくり進むのでも良いけど」


 チョットだけ余裕があるとは言ってるけど、見た感じ全然余裕なんだよな。初見殺しさえ喰らわなければ問題なさそう。

 初見殺しは僕が知ってるし。


「マノンは問題なしと判断しました。さらに下層で稼ぐことにしましょう」


「はーい。ねえ先生、ベビーじゃないベリアルもいるの?」


「いますよ」


「じゃあおっきいの? ベビーでも私たちよりおっきいのに」


「サイズは巨人クラスですね」


 ベニ本体が立ち上がったくらいかな?

 さすがに通路では戦闘不可能なので、ボス部屋専用の魔物のはずだ。

 リポップには1日掛かるから連続討伐は無理。


「部屋に出入りするだけで復活すれば良いと思いませんか?」


「先生は悪魔よりも悪魔だね」


 普通じゃん?

 それだけでボス素材を集める効率が変わるんだし。


「まあ今は幅広く素材を集めたいですし"ボスマラソンして休息"という行動パターンをしていれば、復活するでしょう」


「ねえ、ベニちゃん。先生ってなんかオカシクない?」


「きゅー」


「だよね」


「1本でも自分で剣を用意したら、マノンも絶対こうなります」


「ならないよっ!」


 普通……だよな?


 サイクロプス、ワイトキング、メタルゴーレム、ベリアル、デーモンキング、スプリガン。

 キャンプで1泊、以降繰り返し。


 ゲームによっては特定のボスでリセマラだろうけど、ラストレガリアはボス討伐後にオートセーブ入るので……。


「しかし5、6回やればまあまあ集まりますが?」


 普通にやるよね?


「うわぁ、魔王狩りって言葉に真実味が出てきたっ」


「今の人生ではやりません。バランスも大事」


「きゅー」


「違いますが?」


 別に神になろうとしてないよ。マノンの村を大事にしたいだけだ。

 っていうかこの世界、神になれるものなのか?

 そんな設定はなかったはずじゃん。


 なんだかんだ言われたけど、マノンは付き合ってくれた。

 ただ──


「先生……ちゅかれた…………」


「申し訳ないです。私も失敗したと思いました」


 ──現実でのボスマラソン、アカンヤツだった。

 2回でやめておけば良かった。


「帰りましょうか」


「うん」


 いえにかえったら、ぼくは、ないてあやまっても、ゆるしてもらえないくらいのエロフにされた。

 マノンがSに目覚めたかもしれないとも追記しておく。


「やめなしゃいマニョンッッ、ゆるちてぇもうらめもうらめってばァムプッ」


「ん~~っちゅ、先生ってば全部の穴が好きなんだねっ」


「あ、穴ってヒ────ァッ」


 お仕置きが終わらないとも追記すべき事案だ。

 掃除と洗濯も全部やらされたと追記しておく。

 ご飯は作ってくれたのでマノンは優しいはず。


「先生を支配してる感じも捨てがたいって気付いたよ!」


「ちょ、調子に乗ってッ」


「ンフゥ」


 支配してる感じ捨てがたい。

 支配されてる感じも捨てがたいと思ってもらえてるようで。

 先生は安心です……。

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