35 「ね? 簡単でしょう?」

 ダンジョン探索3日目。

 僕たちは45層にテレポートした。

 素材収集開始。


 今日は悪魔系を狩るので、43層まで上がってからが本番ってとこ。もう素材的にもオイシイ場所なので、得られるものはインベントリにどんどん入れて行っちゃいましょー。


 でもレッサーじゃないほうの悪魔系は、マノンが慣れてからにする。

 ネム塾の授業は安心安全をモットーにやっておりますので。

 そいつらは46層以降に出現するので、攻略後半からだね。


 45層は石像系というかガーゴイルやゴーレム多めのはず。

 でも目的と違うのでスルー予定ではある。


「きゅー」


「……なるほど? ゴーレムの素材はあったほうが便利ですか」


「ゴーレムの素材だとどうなるの?」


 物理防御とか破損耐性の高い装備を作るなら、稼ぐのはここになるよ。


「なるほどぉ。切れ味に特化させるだけじゃ壊れちゃうんだ」


「きゅー」


「では出会ったら叩きましょう。防具には使いやすい素材ですし」


 マノンの中では切れ味に特化した剣が作りたいって決まったみたいだな。

 つまりドラゴンを引き当てなきゃいけない。

 孤島のダンジョンだとレアモンスターに設定されているはずだ。


 でもその分、良いものが手に入る可能性は高い。確定ドロップだけでも良いものだし。

 でもレアモンスターのレアドロップが来たらさ、脳汁があふれるよな!


「マノンに期待する案件ですね」


 マノンの勇者力、仕事してくれないかなー。


「運?」


「そうです。強いドラゴンを呼んでください」


「ド、ドラゴンかあ……ダイジョブ?」


「フォローします」


「強そうだなあ……」


「良い素材にも期待します」


「そこも運なんだね」


 今のソロマノンじゃ厳しいか? ってくらいだし、ソロじゃなきゃ大丈夫だ。でもそろそろ聖属性、解禁すべきかな。

 リジェネ付くから安全性が段違いになる。


「聖属性、鍛え始めましょうか」


「ウゥ……今の私じゃ回避が難しいってことかあっ」


 バフは爆盛りです。

 もちろんデバフも爆盛り盛りです。

 最初の内は暗殺しちゃえばイインデス。


「マノンも戦闘経験を積んでいますから」


 魔王軍の、ってなると知恵もあるから難易度は高いけど、ダンジョンの魔物ならね、すぐに対応できるようになるよ。

 チョットでっかくて、チョット火力が高いだけだ。


 聖属性は魔王を倒してレガリアを獲得する時にも必須だ。

 魔王が所持している場合は聖火で焼くんだけど、高レベルになったマノンの聖雷でも焼けるはず。


 スキルの聖雷撃を覚えてもらおう。


「ム、風の精霊ナギが敵を検知。居ますね、ロックゴーレム2体。そこの十字路を左に300と正面に500m。ハズレですが、ついでなので狩っていきましょう」


「分かったー」


 索敵は稼ぐための効率を考えて、広範囲でサーチ可能な僕がやっている。精霊さんは生活にも戦闘にも欠かせない仲間たちだね。


 ナギにはメタル系のゴーレムを所望しておいた。

 可能であればミスリルやアダマンタイトをください。

 あれらは良い敵なので、ぜひぜひ。


「ゴーレムはこうやります」


 ススッと近付いて、魔力をグイッて押し込む。

 ビビビと振るわせるとコアが壊れて素材になる。


「ね? 簡単でしょう?」


「それって魔力操作で遊んでたヤツ?」


「それです」


「できそう!」


 マノンは得意だったからできるよ。これなら相手の攻撃をかわすだけでオッケーだしな。僕たちはAGI高めだから、この方法が安全で一番簡単だろう。

 武器の劣化もないのが良い点でもある。


「マノンでしたら雷のオーラでも問題ないかと」


「はいっ」


 でもせっかくなので魔力操作で破壊を試みるそうだ。属性付与してない分、パワーも必要だし。

 それに特訓にもなるか。


 2体目のロックゴーレムにマノンが接近。

 放たれたパンチを避け、脇腹に生じたのへ手を添えた。


「たああああっ!」


「気合を入れなくても、できるようになりませんと」


「勝ったから良いのです!」


「静かに処理するほうが増援が来ませんよ?」


「稼ぐために潜ってるから良いのっ」


 あー言えばこー言う。

 まあマノンのやる気が出るほうで良いか。気合の乗りっていうのだって大事なことでもあるんだし。


「では悪魔系を狩りに43層行きの転移トラップに向かいます」


「おーっ!」


 途中で出てきたアイアンゴーレムも、ついでに狩っておいた。マノンの雷撃ですぐ片が付くし。ただミスリルやアダマンタイトは出てくれなかったよ。レアモンスターは、やっぱりレアなんだな。


 残念。

 仕方ないことなので、次に狙う魔物をマノンと共有する。


「43層はレッサーデーモンやプチデビルなどが出てきます」


「うんうん」


 敵は魔法主体の攻撃を仕掛けてくるので、発動前に潰すか避けるようマノンに伝える。

 もちろん最善は気付かれる前にやるということも──


「早いですし、楽なので」


 ──ギィィィィィィッ


「身も蓋もないって、こういうことなんだって、私……思った」


「ではマノンも戦闘経験を積んでください」


「はい!」


 風の精霊ナギに頼んで釣って来てもらうから、僕たちはいつでも入れ食い状態だ。

 たっぷりと経験や素材を稼いでしまおう。

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