29 憧れのマノンから、憧れの眼差しを受けるムーブは大体成功しているッ。

 +25%まで取ったのに次のルートが出ないんだよな。

 追加で+30%までされるルート。

 現実になったことが原因なのか?


 マノン自身でツリーに目覚める必要がある?

 しかしマノンにツリーが出ても、操作するのは僕。

 僕のほうで何かのきっかけが必要なんだろうか?


 あるはずのものが出ないとか言うのは、ガッカリさせてしまうだろうから伝えてはいないが。


 僕自身は第3ルートに入ってる。+35%されて合計で90%のバフが付くルート。この様子なら第4ルートもあるだろうし、最後の+10%をポチれば僕のステータスは2倍になる。


 第1ルート +1%+3%+5%+7%+9%=+25%。

 第2ルート +2%+4%+6%+8%+10%=+30%。

 第3ルート +3%+5%+7%+9%+11%=+35%。

 第4ルート +10%。

 合計で+100%される。


 パッシブの剛力とかは、自力で獲得するにはどうすればいいんだろうな?

 俊敏とかさ。それが分かれば第2ルート以降が解放されなくても、マノンのステータスを10%加算できるんだけど。


 スキルツリーの解放の仕方なんて分かんないし、バフの付いた装備を揃えていこう。プレイヤーにとっては"最初からあるもの"だしなあ。幸い属性エンチャント系は2人とも付けられるし、それが確実かもしれないな。


 問題はスキルポイントをどうするか。

 貯めておく?

 マノンのツリーが増えるかどうかなんて不明だ。


 だけどマノンはポイントを使いたがるだろう。獲得したスキルも強化できるし、効率を無視するならステータス自体を上げることだって可能だ。


 ベニに聞いたところスキルツリーは知らなかった。この世界はゲームみたいな世界でも、ゲームじゃないから"ないもの"として考えるべきか。

 だとしたら25%でもバフが付いたら破格ということになる。


 マノンの基礎ステータス。ゲームと同じで覚醒後に500辺りだった。LVアップによる増加とツリーのバフを合わせた今は、世界トップクラスになっている。

 ステータスだけなら、だけど。


 僕が転生したネムというキャラは、400程度の基礎ステータスだったからスキルツリーが解放されないと国内優勝候補クラスだった。

 先生でいられなくなるとこだったよ。


 セーフ。


 今はAGIとINTに限れば、物語の英雄クラスから神クラスの間くらいになっている。

 900オーバー。

 圧倒的セーフ……ッ。


 憧れのマノンから、憧れの眼差しを受けるムーブは大体成功しているッ。

 キャラクリしてやってみたりもしたけど、結局はマノンでプレイしてたからなあ。マノンプレイは正義だよ。


 なのでマノンにもせめて800オーバーの、知らぬものなしクラスになって欲しいところ。

 強いマノンはカッコいいのだ。


 野球ならあの人、ボクシングならあの人、サッカーならあの人。

 そんな世界で名を轟かせる、誰でも知ってるようなクラスにはなってもらおう。


 といってもステータス上の話。

 プレイヤースキル次第で差は覆る。

 低レベル攻略の人はオカシイヨな?


 与ダメ0から10で何時間叩いてんだよってアレ。

 そんな風になれればイケルイケル……イケル……。

 見切りって感じのスキルを発現させればイケルハズッ。


「マノン、そろそろ交代の時間です」


「んふぁあい」


 精霊がいるから見張りは不要。あくまで練習のため、かな。まだ浅い階層だから実力を測れない不埒な新人くんの存在も考慮した。

 そんな視線は受けてないけど万が一のため練習というか。


 隠してる隠し部屋に滞在してるからな。

 報告してないなら占有してるんだろうし。


「ではお願いします」


「うん、おやすみっ」



「────してもいいわけじゃないでしょ?」


 ン……?


「外国から来て知らなかったからって、いくらなんでも」


「ゴ、ゴメンナサイ」


 占有パーティがイチャモン付けに来た?

 4人の女子パーティ。他所ものが荒らすなみたいな感じでマノンが責められてるっぽい。


「ダンジョンは別にアナタたちのものじゃありませんよ?」


「あ、先生、ち、違う」


「起こしてくれても構いませんでしたが」


 誰のものか。しいて言うなら孤島の魔王軍のものかな。

 ここのダンジョンはね。

 それを証拠にほら──


「魔物が来ましたよ」


 ──魔王軍のヤツらだ。

 明らかに今の階層と合ってないレベルの敵。

 コボルトヴァイカウント子爵が、僕たちを糧にするためにやって来た。


「あっ、えっと、倒せる?」


 マノンが問うが、怯えながら首を振る初心者パーティ。彼女たちは運良く見付けたんだろうな、この部屋。でもギルドに内緒で占有なんてしてると、こういうことになったら対処ができない。


 情報の共有ができてないと、人知れず消えるパーティが出るだけだ。


 まあ、コボルトの子爵級ならマノン1人で問題ないか。

 部屋の中だから軍団を率いてるわけでもないしな。


「私が守ります。マノンは殲滅を」


「はいっ、雷牙──突重とつがさねッ!」


 雷光を纏ったマノンがアサルト系スキルで接近しつつ攻撃。

 2段3段と攻撃を重ね、コボルトたちの間を駆け巡る。

 アサルト連撃スキルは派手だ。


 ジャゴォォンと音を立てて、蓄積した雷撃が部屋の中を蹂躙した。

 守るって言ったのは、雷撃からってことじゃないんだけどな。信頼と受け取って良いんだろうか?


「マノン、スキルはちゃんと選びなさい」


「だって早く倒したほうが良いかと思ったんだもん」


 ダンジョンでの動き。それを練習してただけだから、キミたちから稼ぎを奪うつもりはない事を伝える。

 でも力を付けないと嬲られるよ。


「楽に稼ぐ。それには一定以上の力が必要です」


「だね! 修行したほうがいいよっ。王国の冒険者より強いのは確かなんだし!」


 マノンの言葉で、ちょっぴり自信を取り戻した彼女たち。

 感謝と謝罪の言葉をもらった。

 マノンは謝罪に加え、お金を払ってる。


 なんで!?

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