オープニングで勇者に殺されるザコ暗殺者のエルフ少女に転生しちゃったので、その前に勇者ちゃんと仲良くなっておこう ~悪役転生はキビシイです。フラグはどっか行ってください~
26 ここからあそこまで、っていうのをやった。
26 ここからあそこまで、っていうのをやった。
スッキリしてグッスリ寝たのでバッチリ目覚めるいつもの朝。
実に清々しい。
ただ昨晩はチョット色々あったので、お布団を洗濯して干さなくてはならない。
「昨日の先生は結構み──」
「マノン、しっ。それ以上はいけない」
「でもさ、結局お布団を洗濯するなら、もっとやらし──」
「いけませんマノン」
「だってほとんど先生のだしー」
「マノンのも混じってます!」
スガスガシイ朝なのに、昨日の乱れのことを話してはいけない。思い出しちゃうじゃんか。
「アレェ? 先生の先っちょが主張し始めてるよ?」
「こっ、これはっ……薄着だから……そう見えるだけ、ですよ?」
なんだか掃除に手間取って、冒険者ギルドに向かえたのは、結局お昼ご飯を食べたあとだった。
薄着のせいだ。
余計な時間を食ってしまったので、ベニもなんだか不機嫌だ。
決して何度も睡眠スイッチを押したからではないと、そう思ってる。
しかし素材の優先度はベニが一番ということになった。
仕方ないね。全部薄着が悪い。だって男子たるもの、女子のポッチが大好きなのだから。
好きな子のが見えてしまったら吸い寄せられちゃう。
そんな余計なことを考えてるうちに、マノンが届け出を済ませてくれてた。
「C級のリーリウムです。異動届けを出しに来ました」
「はい、カードをお預かりします」
中途半端な時間に来てるから、空いてる。事務処理も時間は掛からないだろうから、掲示板を見て魔物のチェックをしてよう。
ゲームと現実じゃあ求められるものが違ったからな。
ゲームでは装備の素材。
現実では食料品や医療品だった。
考えてみれば当然といったところ。
お、呼ばれた。やっぱりすぐだったな。
「──様からの評価が届いてます。ランクアップが可能となりましたが、この国での活動がなく……申し訳ありませんが、いくつかの依頼を受けていただければと」
護衛依頼は受けてなかったけど、船長が評価に値すると思って気を回してくれたみたい。
ありがたい話だけど、僕たちの目的に沿わないからな。
「いえ、ランクアップはお断りさせていただきます」
「え? なんで? 先生」
「護衛依頼が来ると困りますからね。私たちは魔王の調査がお仕事です」
「あ、え? あ、そ、そっかぁ。ソダネ。お仕事だもんね。ワタシタチィ」
素直な子だから突発的な事態には弱い。
凄く棒。
でも大丈夫。マノンはそれがカワイイのだから。
移動やダンジョンの調査がしやすくなるので、冒険者ギルドには登録している。そうでっち上げストーリーを受付嬢に伝えた。
あー、そうなんだねー。くらいの感じで受け取ってくれたみたいで良かったよ。しつこくオススメされても困るしさ。
ここで活動してなかったのが幸いした。
「でも船長にはお礼をしておきましょう」
「だね!」
良いお酒ってのが正解かな?
家も知らないから港で聞いて届けてもらうか。
買い物ついでに足を延ばそう。
昼過ぎだし今日はダンジョンに潜らず、お土産とお礼の買い物を済ませることにした。ここは外国。王国とは違う雰囲気のものが数多くある。
マノンの村へのお土産選びには、時間が掛かるって分かってるし。
インベントリとマジックバッグがあるおかげで、僕たちは賞味期限も気にしなくていい。生鮮食品だって持ち帰れるからな。
「マノンママの腕を信じて色々買って帰りましょう」
「さんせーいっ」
こっちの香辛料とか、海の幸とかは村じゃ手に入らないものだし、珍しいものになる。喜んでくれるだろう。
マノンにカレーの作り方を教えておけば、感動の域に達すると思われる。
「特訓です」
「な、何を?」
「カレーを作れるようになって、村のみんなに振舞ってあげましょう」
「カレー! 感動のやつだっ」
基本的なヤツしか僕は知らないけど、マノンママが進化させてくれると思う。今夜のご飯は自作のカレーだな。連続になっちゃうけど、3日までなら平気だし。そもそも4日目まで残らないし。
「でもまずは服を見ていきましょうか」
常夏の国のシャツはカラフルで派手だからね。独自の文化って感じで見てるだけでも楽しい気分になれる。
「全員分買っていいっ?」
「当然です」
1人3着ずつ選んだ。
生地も買い込んだ。
ここからあそこまで、っていうのをやった。
「先生ってプレゼント好きだよね」
「そうですか?」
「だっていっつも大量だよ?」
そう言われてみれば……そうだな。ネムの性格を受けてるのかもしれないっていうことに、今気付いた。運営もネム推しだったようだ。
設定に凝ってる感じがある。
なぜオープニングで消えるキャラになった!?
僕がそんな謎に悶えてたら、ベニが髪を引っ張る。
「きゅー」
「ええ? この装備……何に使うの?」
「ファッションショー……ですかね?」
常夏仕様の装備?
現実にビキニアーマー理論は発揮されるんだろうか。
お腹むき出しだから実戦では使えないよな?
「もしかしてベニちゃん、欲しいの?」
「きゅー」
ショーウィンドウに張り付いたベニが頷く。
「きゅー……」
くっ、本体を知っているのに何だこの庇護欲はっ。
「先生……甘やかしちゃダメじゃん」
「買ってしまいました……」
店主も笑っていた。
ちびドラにビキニアーマー買うヤツはいなかったって。
でも防具としてもちゃんと使えるそうだよ。
「まさか魔力で反発する力場を作るとは」
「安心感ないから装備したくはないよね……」
買い物から帰ったあとに聞いたが、ベニの中にはこういった発想がなかったそうで、欲しくなったらしい。
僕たちにも可愛らしい装備を作るとか言い出した。
ちびドラゴンが「安心せよ」とか筆談用ボードに書き込んで、自慢げに見せてきても安心じゃなくてカワイイが出てるだけだよ。
「せんせー、バナナとマンゴーも食べたーい」
「お土産に買ってきたというのに」
明日からダンジョンの攻略に入るし、やる気が出るならまあいいか。
ここのダンジョン機能は使えないからな。普通の冒険者と同じように攻略する必要がある。
狩場荒らしみたいにならないように気を付けよっと。
「じゃあ今までと同じように隠し部屋探しがメインだね!」
「マノンは得意ですから期待してしまいます」
「おまかせあれっ」
ちなみにマノンは器用だから、スパイスから作るカレーもマスターした。
チキンカツカレー2杯も食べたのに、バナナとマンゴーまで食うとは。
お土産は王国に帰る前に、改めて買うべきだな。
自分たちで消費してしまいそうだもの。
新幹線でお土産を平らげる派閥に入ってたよ、僕たち。
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