23 僕じゃなくて精霊がえっちなんだ。

「精霊です!」


「ホント!?」


 勇者力は働いている!

 こんなにすぐ見つかるなんて思ってもいなかった。僕はすぐ魔力を闇の精霊に与えて、使役する。


「闇の精霊、名前……どうしましょうかねえ」


「ヤミヤミちゃん?」


 闇闇童子?

 もうちょっと童子っぽくしたい。闇の精霊に合いそうな漢字。

 闇、暗、夜、冥、亡、死……パッと思い付くのはこれくらいか。


 あんまり暗い感じの名前になるのは好みじゃないな。

 そうだなあ……日日夜夜をもじって冥冥夜夜メイメイヤヤ童子。


「ヤヤと呼ぶことにします」


「ヤヤちゃんかあ。先生の名付けってカワイ~」


「マノンの名付けも素晴らしいですよ」


 ウム。

 僕たちはニッコリした。


 闇精霊ゲットしたので、この子とできることを探していこう。鉄板は暗闇で視界を塞ぐ……ズルイ感じの闇の衣なんかもイケる?

 闇の衣、ぜひ実現したい。


 光のオーブさえなければ、全属性50%オフみたいな。


「じっくり考えていきましょう」


「私も手伝うね」


「お願いします」


 マノンの発想も大ヒントになりそうだしね。

 お手伝いはありがたき幸せ。

 そもそも──


「使役できたのもマノンのおかげだと思います。ありがとう」


「えぇ~、そうかなあ~?」


 照れるマノンも可愛らしいくて、僕はありがたき幸せ気分です。


「一段落しましたし、休憩にしましょうか」


 10層も3分の1くらいマッピング済みだしな。

 なかなか順調に進んでると思う。マノンの勇者行動も落ち着ける着地地点というか"隠し部屋で堪能する"を覚えたし。


「そういえばお腹も空いたね」


 認証キーを使ってダンジョンの秘密の休憩所に入る。


「結構夢中になっていたようですね。私も言われて空腹に気付きました」


 マノンと相談して、今日は終わりにしようってことに。ご飯は家に帰ってから食べることにした。

 どうせならお風呂に入って、汚れを落としてから食べたいしな。


 僕たちは、そのまま1層にダンジョンエレベーターで移動。冒険者ギルドへ向かった。

 もちろん1層の人のいない場所を検索してあとで、秘密の休憩所から出たよ。


 安心と安全は魔王軍の提供でお送りしています。


「買取をお願いしますっ!」


 素材を売る。


 ベニが欲しがってたヒュージボアと、僕たちが欲しいハチミツ以外を。なんだかんだ倒しているので魔石は多く手に入ってる。オークチーフの素材だけで、1日分としては儲かったかな。


 ニコニコのマノンと夕ご飯の相談。冒険のあとだし、作るのは面倒なのでマノンママのご飯をいただくことにした。

 まずはお風呂。


 素材を残して死体は消えるのに、付いた血油なんかは残るんだよな。

 水の精霊ハパがいるから軽く洗い落としてはいるけど、やっぱりちゃんと洗いたい。


「ベ、ベニちゃんにはお休みしてもらって、と」


「マノン?」


「お、お風呂でしょ? 先生」


「ベニを寝かせる必要は……」


「ま、万が一だよ……?」


 僕は狙われているッ!?


「す、する気なんですか? マノン」


「ま、ま、万が一だもん」


 普通の洗いっこのはずが、どちらからともなく徐々にヤラシイ動きになり……こういう行動は僕よりも、っょぃマノンに主導権を取られてしまった。

 ゎぃ、ょゎぃ。


「先生に勝てるのはこれくらいだしぃ」


「ぁぅぁぅぅぅ」


 僕は何回も何回もチュッチュされてもてあそばれた。

 しかも闇の精霊ヤヤが目隠しプレイを覚えた気がする。僕が拘束目隠し羞恥プレイに弱かったせいで、反応が……反応が強かったらしいのでっ。


 凄くえっちな声を出していたと報告されてしまった。


「マ、マノンだってえっちな声を出してましたが!?」


 彼女は目隠しプレイ以外に弱かったことを報告しておきますとも。


「だって先生に支配されてる感じが凄くえっちなんだもん」


 だそうです。

 心の中の僕は、凄くニヨニヨしている。

 凄くキモイムーブだが、今の僕は美少女ネムでもある。


 セーフだ!


 あと思ったんだけど、僕じゃなくて精霊がえっちなんだ。

 きっと。

 そんなことを口にしたら反撃を喰らってしまった。


 僕の魔力をチューチュー吸って。

 僕の自由を奪って。

 僕の知識にあるえっちなことを一通り。


「あわぁっ、マノンっ……っくぅ、ま、待ちなしゃいっってばっ」


 しかもマノンも参加してしまう。


「先生のカワイイとこ見せてね」


「クッ、こにょままでわっ」


「っっっっっっっっん、ふぅ……私、負けないんだかひゃあっ」


 気付いたら朝になっていた。

 そして今日はお洗濯の日となった。

 幸いにも晴天。


 お布団も乾くだろう…………。


「先生ってばカワイイくせに凄く淫らだった」


「言わないでもらえませんかね!?」


 ただ耳を噛んだら気絶しちゃうなんて、予想外だよって文句を言われた。そ、そんなこと言われたって、僕が知らないネムの弱点だもの。しかも元男には耐えがたいキモチイイが襲ってくるんだし。


 どうしようもなくない?


 僕の知らない弱点をまた1つ……みんなが学んでしまった淫らな夜だったことをここに記す。

 防御はダメだ。回避せねば反撃の糸口さえ掴めないよ。


 とかいうヤラシイお穢れな日々も送ってたけど、ちゃんとレガリアのヒントも集めてた。効率良く進めるために、検索して隠し部屋を回り続けたおかげで見つかった。


 次のダンジョン。

 それは孤島の魔王軍が管理している、中級から上級クラスのダンジョンだ。

 王都のは初から中級だからね。しらみつぶしに探しても半年程度で終わったよ。


 経験値効率も良くなるから楽しみ。

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