16 人は皆──えっちなきぶんになるんだなあ。

 予定も決まったしお風呂にしようかな。久しぶりに水の精霊ハパで身体を洗いたいんだよな。村から王都までは川のお風呂だけだったし、なんかちゃんとキレイになってない気がする。


 しかし……今は1人じゃなくマノンもいる。

 うーん、普通に頼むしかないか。


「今日のお風呂は、1人ずつ入りましょう」


「ん? なんで?」


「隅々までキレイにするため、ハパを使いますので」


「え? なんで1人なの? それなら私もしてもらいたい!」


 精霊さんに洗ってもらえるなんて、村のみんなに自慢できるって言い出した。

 で、できないよ?

 恥ずかしいことになるので、自慢なんてできないよ?


「なんで? ねえ先生、なんで? 良いじゃぁーん、私も私もっ」


「クッ……えっちな気分になってしまうので、見せられないのです」


「ナ、ナンデ!?」


 詳しく聞きたがるマノン。

 ヤメテ?

 えっちな気分になった時の状況を詳しく聞きたがるのヤメテ?


「ァ…………ョ……ヮ……ィ…………」


「っ!? っっ!?!?!?」


 マノンのナンデナンデ攻撃に屈した僕は、えっちな気分の時の話をする羽目になった。

 僕たちの顔は真紅である。


「で、でも先生が凄くキレイで凄くいい匂いの理由が判明した」


 村の女衆みんな気になってたんだって。


「まさかえっちなことで、キレイでいい匂いになるなんてっ」


「あ、あまり言わないでもらえませんかね!?」


 凄く真剣な目をしたマノンが一言漏らす。


「わ、私にも……」


「っ!?」


 ま、まさかマノンが言い出すとは。なんてアグレッシブなんだ。"ゆりゆり"は望むところではあるけど……これは違うよな?

 勇気の使いどころが違うんじゃないか?


 勇者ちゃんめぇ。

 恥ずかしいけどチョット嬉しいじゃないかっ。


 だって男だもの。

 18禁が好きでもいいじゃないかっ。


「だ、だって先生がいい匂いだから、自分が臭く感じるんだもん」


 人体の大きな穴はもちろん小さい穴、毛穴なんかも水の精霊ハパがキレイにしてくれるからな。しかも清浄な森の香りみたいなリキッドで。

 おかげで僕は森の泉の乙女みたいな香りになってるんだ。


「だからといって、なぜえっちなのを知った上でチャレンジするのですか……」


「だ、えっ、そ……そんな、そんな恥ずかしいこと言えないよっ」


 あ、こ、これはアレだ。

 おんなのこもえっちなきぶんになるんだなあ案件だ。

 元男とか関係ないんだ。


 人は皆──えっちなきぶんになるんだなあ。


「分かりました。あとでしてあげます」


 そう言ったのにもかかわらず、マノンはお風呂に付いて来る。


「1人のほうが良いでしょう?」


「先生の精霊さんなんだから、先生に私の……そ、そういうトコ知られちゃうかもだし! そしたらズルイし! 私だって先生のえっちなとこ見たいしっ!」


「見せられないと言ってますが!?」


 悪い笑顔を浮かべるマノン。僕の弱点を見つけたとか騒いでるけど……それはマノンも一緒なのでは?

 誰だってえっちな部分は弱点じゃん!


「だってどっちもえっちなら、まだマシだよ」


 なるほど?



 なるほど確かに。

 なぜそんな風に思ったのか、さっきの僕を正気に戻したい。


「ゃ、ゃめマニョン、やめにゃしゃいっ」


「ぅゎぁ……先生……えっち、カワイイ」


 ちゅっちゅしてくるマノンと、水の精霊ハパの猛攻の前に、僕は敗北を喫した。

 く、くそ、1人でする時の情報をハパが覚えてたせいだ!


 僕の弱点はマノンにも知られてしまった。しかしマノンの弱点の情報は、僕もハパも持ってはいない。

 まだ余裕があるんだろう。


 だけどえっちな気分にはなってるようで……。


「ヒィ」


 カワイイ女の子が全裸で迫ってくる。


「先生はここが好きなんだね?」


 えっちが目的で。

 だから僕は──ッで、──っっして、────て……敗北したのだ。

 僕は覚醒勇者の手によって、エロフにクラスチェンジさせられたのだ……。


「お、同じ目に合うのは恥ずかしい……なあ」


「ゆるしましぇん」


 力が抜けてプルプルのふにゃふにゃ状態。

 しかし精霊たちには指令くらい出せる。


「お、怒った? 先生……」


「ふぅ、はぅ……お、怒ってはいましぇんが、私らけ見られたのはズルイと思うのれしゅ」


「ぅぅ調子に乗ってしまいました」


「マノンもキレイキレイしてしまいましょう」


 木の精霊ジュカは柔らかでしなやかな枝で拘束。

 風の精霊ナギは柔らかく撫でる風を。

 水の精霊ハパッ、GO!

 みんなでマノンの弱点を暴くのだ!


「ぁやぁ──ッッ!? ッッッ!?!?!?」


「はゎぁっ!? 私は良いんです、もう良いっダメダメぇぇらめってぇぇ」


 僕とマノンは縛られて、キレイキレイされて、ツルツルのピカピカのいい匂いの女の子にクラスチェンジした。


 もちろん途中はえっちな気分・・どころじゃなくなってしまったので、エロフとエロ勇者だった。

 凄く……原作ゲームの二次創作をしました。


 それから精霊は物覚えが良いと、ここに記します。


 水の精霊ハパの弱点看破で新たな18禁扉が開いた。

 風の精霊ナギのフェザータッチで、もどかしい18禁扉が開いた。

 木の精霊ジュカの柔らかでしなやかな枝で、羞恥ポーズの18禁扉が開いた。


 みんなが余計なことを覚えた気がする。

 それは僕の18禁二次創作知識のせいだとは思うんだが……変な方向に進化しなきゃいいけど……。


 結論──人はえっちなのだ。


 アヤシイ。

 凄くアヤシイ。

 だって精霊たちが凄かったので。


 エルフと勇者は18禁の定番なんだなあ……って思いましたとさ。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る