2 従姉妹から聞いた短い話①


先日、従姉妹のNさんと久々に会いました。


彼女は私より年上で、優しく話を聞いてくれる淑女でいらっしゃいます。


ほんの少しですが霊感のようなものがあり、時々不思議な体験をしているそうで、

何か体験した怖い話はないかと伺いました。


「あまり大した話じゃないよ。」

という前置きで、不思議な話を3つお聞きしたので、ご紹介させていただきます。



(1) 北陸の家で


Nさんは少し前まで北陸の某県にて

短期間暮らしていました。


シェアハウスを利用しながら、近所の方々と楽しく交流していたそうです。


ある日、近所の方から

「普段使っていない家があるから

 住んでいてほしい。」

と持ちかけられました。


Nさんも詳しいことはわからないそうですが

普段生活するのとは別に、お盆で親戚一同

寄り合う時に使う家があるらしく、

お盆の時以外に、そこで住んでいてほしいという滅多にない頼みごとでした。


日頃からお世話になっていたのと、

シェアハウスとは違う空気を楽しみたいということで、Nさんは快諾し、住むことにしました。


数日後、早速その場所に訪れてみると、

聞いていた話よりも大きく、2階建ての立派な構えで、こんなところを一人で使っていいのかと驚いたそうです。


玄関から入り1階を一通り見ている最中、開いた襖から見えたある光景に、Nさんの心臓が跳ねました。


そこは仏間で、見知らぬ人の遺影が飾られており、仏壇が鎮座していたのです。


お盆の時にここを使うとは聞いていたけれどまさか仏間があるとは、と肝を冷やしました。


補足として書きますが、都会育ちの彼女は他人の家の仏間というのに、あまり耐性がなかったのだろうと思います。



それ以外はいたって普通の民家ですから、

Nさんも広々と使えて気楽だと、これからの暮らしを前向きに考えていました。



その日の夜のこと。


2階の部屋で横になっていたNさんですが、

なぜか寝付けずにいました。


部屋全体の空気が淀んでいる感じで、Nさん曰く、誰かに叱られているような、歓迎されていない感覚があったとのこと。



Nさんはその原因を突き止めようと、

思考を巡らせて、はたとあることに気がつきました。



今、自分がいるこの部屋は、

仏間の真上にあるということに。



寝る場所を変えると、それまでの空気が嘘のように、嫌な空気はなくなったといいます。



しかし、Nさんはあの居心地の悪さがあまりにも気味が悪かったので、近所の方に断りをいれて、早々にシェアハウスへと戻ったそうです。


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