第49話 男の思惑

「どういうつもりだ?

プロなんじゃないのかよ。」

「あぁ、確かに俺はプロだ。」

「だからこそ仕事で失敗はできねぇ。」

「だが、俺はポカやって

お前に倒されちまった。」

「このままじゃクビだ。」

「別に今すぐお前を絞め落として今度は

出れねぇように牢屋に突っ込んでもいいが。」

「せっかく強いお前をそんなふうに

 手放すのは惜しい。」

「だから研究所まで送ってってやる。」

「お前はその間俺におとなしく捕まえられてる

 フリをしておけ。」

「そして俺が中で暴れたところをあくまで

業務の一部としてお前が倒すってことか。」

「そういうことだ。

珍しく察しがいいじゃねぇか。」

男はニシシッと笑った。

なるほどなWin-Winの関係ってやつだ。

というかこの状況じゃ俺は断れない。

この男とこの距離で戦闘を始めて勝てる

ビジョンがまったく浮かばない。

「わかったお前の言うとおりにしよう。」

「お!なかなか話がわかるじゃねぇか。」

「次は油断しねーから

もっと強くなっとけよ。」

果たして俺はもう一度こいつに

勝てるだろうか。



「どういうことよ!!

あいつと手を組むって!!」

俺はシエラフィルのいる部屋に行って

傷の修復に使用した体力をいくらか

回復したシエラフィルに

奴と手を組むことを話していた。

「仕方ないんだ。」

「研究所までのルートも内部構造も

何も知らない俺たちはあいつの言う通りに

動くしかない。」

「だから一時的に手を組むだけであいつも

最終的には俺と戦うつもりらしい。」

「...なるほどね。」

「仕方ないとはいえ癪ね。」

「まあいいわあいつから情報を

引き出しに行くわよ!」

シエラフィルは勢いよく立ち上がった。

「…。」

「なにボサッとしてんのよ早く行くわよ。」

「あぁ...。」

お嬢なのに意外とこいつ理性的なんだなぁと

思ったシデアであった。

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