第48話 手伝ってやる

「おいベースってなんだ。」

俺は部屋にあった運搬用らしきロープで

奴を部屋の柱にくくりつけて再度聞いた。

「あーいや、なんでもねぇよ。」

「お前隠すならどうなっても

文句は言えないぞ。」

「おーおっかねぇ。」

「だがこればっかりは機密事項だからな

言えねぇな。」

「こっちもプロなんでな。」

毅然とした表情をしている、

これ以上続けても無駄か。

「まあいい。」

「そんで、この船はあと

どのくらいで着くんだ?」

「あー?大体四、五時間くらい

じゃねぇかぁ?」

「そんだけ時間があれば

俺も治るしもういっか...」

「やんねぇよお前は大人しく縛られとけ。」

「けっ、つれねーな。」



俺はシエラフィルをベッドのある部屋に寝かせると、船の甲板に出て外の様子を見ていた。

「霧でなんも見えない。」

「これじゃなんも様子が分からないな。」

さて、どうしたものか。

四、五時間。

ただ待ってると考えたら長い時間だ。

ただ、この後何も知らない国に連れて

行かれるとなると策を考えるには短すぎる。

研究所を潰そうにも場所もわからなければ、

何があるのかもわからない。

それにあの男だってずっと船に

拘束していたらバレるだろう。

「どうしたらいいんだぁ。」

思わず頭を抱えてその場にしゃがむ。

「どうした?俺に啖呵きっといてもう

手詰まりか?」

「なっ!?」

「お前なんで縄抜けてんだよ!!」

頭を抱える俺の後ろに赤髪の男が立っていた。

「舐めてんのか?痺れさえ回復すれば

あんくらいの縄引きちぎれるっつの。」

そう言って俺の横にあぐらをかいて座った。

「お前近づくと打つぞ!!」

俺は杖を前に向けて威嚇した。

「ハンッこの距離じゃ俺の勝ちだろ。」

「お前とやるとしてもこんな距離じゃ

始めねーよ。」

「じゃあ何が目的だ!」

「手伝ってやるよ。」

「は!?」

「手伝うって何を!」

「お前が研究所に入るのをだよ。」

そう言って男は俺を指差した。

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