第45話 なんでここに
「なんでお前がここにいるんだ!」
「クソッやっぱりおかしいと思った。」
状況を理解できない俺とは裏腹にシエラフィルはある程度予想できているようだった。
「どういうことだ?」
「途中までまるで私たちを追いかけてるような動きだったのに、途中から私の魔術に
引っかからなくなったのよ。」
「範囲外に出たのかと思ってたけど明らかに
動きがおかしいと思ったらこういうことね。」
「どういうことだよ。」
「たくっ。アンタほんっと察し悪いわね。」
シエラフィルが呆れたように言う。
「アイツの格好見てみなさい。」
そう言われて奴の格好をよく見ると牢屋に来たときとは違って黒いローブを着て左手には
手のひらより少し大きい球体を持っている。
「おそらくあのローブが私の魔術を弾いて、
アイツが手に持ってるものが私たちの
居場所を示していたのよ。」
「御名答。」
赤髪の男はニヤリと笑った。
「これはお前らで言うところの魔道具みたいなもんだ。もっとも、魔力はいらないがな。」
つまり俺たちは奴の掌の上で
踊らされていたわけだ。
「おいどうする。荷物はアイツの後ろだぞ。」
俺は奴に聞こえないように小声で話す。
「どうするもなにも直接叩くまでよ!!」
シエラフィルは奴に飛びかかった。
だが奴は飛びかかったシエラフィルの腹に
アッパーを入れて天井へと打ち上げた。
打ち上げられたシエラフィルが
床に打ち付けられる。
「魔術だけのお嬢様が体術で
敵うわけないだろ。」
男は当然といった表情だった。
シエラフィルは気を失っているのだろう
起き上がる気配がない。
次は俺の番だ。
「おい、これが使いたかったんだろ。」
男が俺の荷物を投げてきた。
「...いいのか。」
「いいもなにもそれなしじゃ
話になんねぇだろ?」
「でもそれがあるだけで劇的に変わるんなら、
俺だって気になるさ。」
「...。」
正直こいつがなにを考えているかは
わからない。
だが今の奴の行動が俺にとっては好都合だ。
「後悔しても知らないぞ。」
「期待外れは勘弁だぜ?」
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