第43話 血統魔術
「だからアイツとは戦わない。」
「ふざけないで!」
「ふざけてるのはお前の方だ。どうしても
アイツと戦うってんならお前を置いて
俺は脱出する。」
「...。」
シエラフィルは黙り込んだ。
おそらく自分一人では勝てないこと脱出が困難であることを理解しているのだろう。
だからこそ自分のプライドと理性の間で
揺れてるんだ。
確かにプライドは生きていく上で重要だ。
だが時には捨てなければいけないこともある
ということを彼女は学ばなければいけない。
「....でしょ。」
なにか言っている。
「あんたの荷物があれば勝てるんでしょ?」
「じゃなかったらあんな言い方しないわ。」
「...確かに俺の荷物の中の物を使えば魔術師
でもある程度戦えるかもしれない。」
「でも、場所がわからないんだから
どうしようもないだろ。」
「ハンッ、そんなの私の魔術で
どうとでもなるわ。」
? 何か特別な魔術があるのか?
「世間知らずのアンタのことだから知らない
でしょうけど、魔術の名門と言われる貴族にはそれぞれ血統魔術と言われる
一子相伝の魔術があるのよ。」
血統魔術、そんなものがあるのか。
シエラフィルは地面に手をついた。
詠唱をすると思いきや手をついた地面から
魔法陣が現れた。
「詠唱はしないのか?」
「血統魔術は血に刻まれてる術式を使うから、
詠唱はいらないのよ。」
「それより少し集中するか黙ってて。」
そう言うと地面に映る魔法陣が光り輝いた。
その輝きは勢いよく強まると
少しずつ消えていった。
「分かったわよあんたの荷物の場所。」
立ち上がったシエラフィルが言う。
「すっげぇ!今のでわかったのか!?」
「どんなことしたんだ?なんか見えるのか?」
「なぁなぁ。」
「うるさい!!」
思い切り殴られた。
「ごめんなさい。」
「ほらとっとと行くわよ。」
そうか、荷物が見つかったから
アイツと戦うのか。
正直怖いって気持ちやあいつを止めた
冷静な気持ちもある。
でも、俺だって実は殴られて腹立ってたんだ。
「よし!」
「反撃開始だ!」
俺は立ち上がって宣言した。
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