第28.5話 ラグナ魔術大学
あの手紙によるとラグナ魔術大学宛てに手紙を送れば迎えにきてくれるとのことだった。
そして今日が迎えに来る約束の日だ。
俺は数日帰れないとわかっていたので
荷造りをしていた。
歯ブラシに数日分の着替え暇つぶしの本等々。
「ほかに何を持って行ったものか。」
「シディ何してるの?」
フューが荷造りをしている俺の顔を
のぞいてきた。
「荷造りだよ、行くだけで2日かかるんだ
当分帰ってこられないだろ?」
「だから、何を持っていくかなってね。」
「なるほどね...じゃあシディこれあげる。」
フューはそう言って俺に手を突き出した。
「お、何かくれるのか?」
そう言って俺は手を開いた。
フューが手を開くとじゃらっと音を立てて、
俺の手のひらに何かが落ちる。
「おぉ〜。」
フューがくれたのはブレスレットだった。
動物の革と小さな金属でできた花の
装飾でできた簡素なものではあるが
特有の味があっていい。
「これどうしたの?」
「え?知らないのシディ。」
「旅立つ大切な人には故郷の花のアクセサリーを贈るんだってデアルさんが言ってたよ。」
「もし、寂しくなったり悲しいことがあっても、自分は一人じゃないって思えるように
だってさ。」
「へー。」
なかなかロマンチックで
素敵な文化じゃないか。
「って俺は数日出てくだけだわ!」
「えへへ、なんちゃってー。」
えへへってあいつ...
でもまあ嬉しい品物ではあるありがたく
頂こう。
この時の俺は本当に長い間この家を空けることになるなど頭の片隅にも考えてはいなかった。
「シディー!」
「魔術大学さんからお迎えよー!」
「はーい!」
「楽しみだなーっと。」
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