第28話 魔術大学
「べばび!?」
俺はシフィリアの作った飯を口に詰めながら
言った。
「そ、お前が寝てる間に俺の職場に
お前宛ての手紙が届いたんだよ。
お前そんな知り合いいたか?」
「王宮に俺宛ての手紙が?」
一体俺に手紙なんて誰がよこしたんだ。
「ほれ、開けてみろよ。」
そう言ってデアルは俺に封筒を渡した。
拝啓 シデア・レント様
まず、貴方様の所在地を存じていなかったため、お父君の職場に送るというかたちになって
しまったことを心よりお詫び申し上げます。
早速ではございますが今回お手紙を送らさせて頂きました理由としましては貴方様に我が校で教鞭をとっていただきたく〜〜
かたっ苦しい手紙の内容を要約すると
街での俺の魔術騒動を見て興味が湧いたから
ウチの大学で魔術を教えてくれないか?
ってことだ。
まさかあの魔術を見られていたとは。
それにしても魔術を複合させるのは
珍しいことなのか?
「お前すげーな。
ヴィヘナ王国立ラグナ魔術大学って言ったら
貴族しかいねぇエリート大学じゃねぇか。」
「そうなの?」
「お前頭いいくせに変なところ
抜けてるよな。」
「ラグナ魔術大学ってのはな、ウチの子は
なんでもできる天才だから〜なんて言う
バカな貴族どもが習い事感覚で子供に魔術を
習わせる気の狂った大学だよ。」
「そりゃまぁ、すごいもんで。」
俺は思わず引いてしまった。
「だがまあ実際貴族が通わせるだけあって
実績のある大学だからな生徒も嫌味なエリートだらけってわけさ。」
なるほど確かに名門...
それだけでは済まなそうだが...
「まあ父さんも毎日仕事をしに行ってるくらいだし、一回ぐらい行ってみるのもアリか。」
俺がそういうとデアルは驚いた顔をした。
「...お前ほんっと抜けてるよな。」
? なんのことだ。
「俺が雇われてるのはシビュラ王国な。
ヴィヘナ王国ってのはこっから馬で
二日はかかるまた別の国だ。」
そうか、それもそうだ。
国が一つなはずもない。
しかし困った。
2日もかかるとなるとそう易々とは行けない、だが魔術大学という響きかなり気になる。
俺の魔術に関する知識も技術も
まだまだ発展途上だということは今回の件で
文字通り身に染みている。
「うーん、どうしたものか。」
「行ってみりゃ良いじゃねぇか。」
いやそう軽く言われても...。
俺はフューの方を見る。
俺は約束してしまったんだフューの側を
離れないと。
そう易々と...
「僕のこと?」「僕なら大丈夫だよ?」
心配そうに見ているとフューはあっさりと
そう言った。
すごい心境の変化だ、一体俺が寝ている
一週間の間に何があったんだ。
まあ、いいことではあるのだが...。
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