第38話 目の前は暗闇
さーて、今日も憂鬱ながら可愛い生徒の
ために授業を頑張るかねぇ。
よーし...なんだ?目が開かないぞ。
開かないというか目を布かなにかで
覆われてる。
その布を取ろうとしてついでに後ろで
手を縛られていることにも気がつく。
なるほど。
つまるところあれだな、誘拐されたわけだ。
俺シデア・レント七歳。国立ラグナ魔術大学で勉強を教えているエリート教師だ。
そんな天才的な俺はどうやら
監禁されているらしい。
困ったものだ。全く昨日の記憶がない。
昨日の俺は覚えている限り、
いつも通り授業を終えて例の如く残業を
しばらくした後職員寮へと帰っていた。
そこで記憶が終わっている。
これが拉致監禁の類ならおそらく
そこでやられたんだろうな。
どうしたものか俺個人ではどうしようもない。
魔術を使えば縄や布くらい千切ればいいとも
思ったが、口にも何か猿轡のようなものを
噛まされているせいで、詠唱ができない。
魔術の詠唱には適切な発音が必要なのだ。
こんなもごもごしか言えない
口ではなにもできない。
カツッカツッ
足音が聞こえる。
どういう部屋の構造かはわからないが
こっちに近づいてきているのがわかる。
しばらくするとドォンッという扉が開くような音ともに男が入ってきたのがわかった。
「お!マジでいんじゃねーかよ。」
「いいねーいいねー。」
男の声だ結構低い、
声の感じからして三十代くらいか?
「フンッ当たり前でしょ
私を舐めないでちょうだい。」
今度は甲高いヒールの音ともに
若い女の声がする。
「ほら、約束通り頼んだわよ。」
約束?なんの話だ?それにしても
この女の声どこかで聞いたことが。
「あぁ、もちろんだぜ。」
男の方も約束というものが分かっている
ようだった。
「それにしてもこんなただのガキ欲しがる
なんて、北部の奴らは本当に物好きよね。」
この人を舐めたような感じ。
あぁ!!思い出した。赤髪のアイツだ!
シエラフィル・ドラニクス!!俺の生徒だ!
もしかして、俺を拉致ったのってあいつか!?
「じゃあまあコイツ運ばせてもらうぜ。」
男はそう言うと俺の腹に手を回して担いだ。
俺は一体どこに連れてかれるんだ?
「ん?なんだこいつ起きてんじゃねぇか。」
男はそういうと俺のことを放り投げて
ボディブローをかました。
くっそ...いってぇ.....
再び意識がなくなる。
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