第37話 閑話シデアの休日

今日は一ヶ月ぶりの休暇だ!

俺は移動に最低二日かかるこの国からでは

週末の二休では行って帰ってくることが

できないと考えていた。

だが、しかーし!この大学の講師は、普段から

教材の準備やカリキュラムの作成に追われて

いるため月の休日がほぼない。

それに加えて子供の体でサイズの小さい俺は

通常の人間より移動や準備に手間取ってしまいそのせいで業務に遅れが

出て、休みが一日しかない!

なんてブラック企業だ!!

と言いたいところだがその分賃金は

使いきれないほどに貰っている。

おそらく半年後には大きな家を建てられるようになっているだろうというほどに。

まあ、ということで今日は

貴重な貴重な休みなのだ。

そして俺がそんな休みの日に

どこに行くのかというと

コンコンッ

「ネイデルさんの部屋で間違い

ありませんか?」

例の翻訳機魔道具を作った人の家だ。

休みの日にまで魔術の研究とは、

職業病だなこれは。

「はーい。今開けますよー。」

思ったより声は若そうだ。あんな便利なものを作ったくらいだから長年研究している

老人かと思っていた。

そんなことを考えていると扉が開いた。

扉の奥から二十代後半の無精髭を伸ばして黒の

柔らかそうな髪をしたメガネの男が出てきた。

いや、いかにも天才科学者って感じー。

「シデア・レント君ですね理事長から

聞いてますよ。」

「僕がいかにもあの魔道具を作った男、

 ネイデル・グランツェです!」

「よろしくー。」

男は陽気で話しやすい雰囲気だった。

「よろしくお願いしますグランツェさん。」

俺は礼儀正しく挨拶をした。

「そんな堅くなくていいから名前呼びで

タメ口で話していいよ。」

「は、はい。ありがとうございます。」

こうして俺はこの日はネイデルさんに

あの魔道具について教えてもらった。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る