第24話 魔術の授業

 今日はフューに魔術を教えることになった。

「ねぇ、シディ。まずはどうするの?」

「よし、じゃあまずはストレッチだ。」



一時間後

「長くないっ!?」

そうそう、そのリアクション。それが普通よ。

「母さんが言うには未経験者は魔力が滞ってるからそれを正さないといけないんだってさ。」

「ほら、ここにも書いてある。」と言って

俺は魔術の入門書を指差した。

「えーー。」

フューもここ数週間でずいぶん

感情を出すようになった。良いことだなぁ。

と俺はしみじみしていた。

「ふっ。んっ...はぁっ...。」

それにしてもこのフューという男。

日に日に女性的な色気をつけていっている

気がする。正直今もストレッチで生まれる

フューの声のせいで目のやり場に困っている。

とても将来が楽しみだ。

って俺は何を言っているんだ!

ズガンッズガンッ

俺はやましい気持ちを打ち払うように

木に頭を打ちつけた。

「シ、シディ?」「だ...大丈夫?」

「あぁ、大丈夫だ。

よし次のステップに行こうか。」

「シディ大丈夫じゃないよ!!!

頭から血出てる!」

「早く治して!!」



「さてと、気を取り直して。」

俺は先ほどまでの奇行を取り消すように

咳払いをした。

「じゃあ早速魔力の流れを掴もう。」

「まず胸の辺りでじわじわと広がるあたたかい

 感覚があるのはわかるか?」

「うん。言われてみれば走った後とかとは違う

 あったかさがあるよ。」

「よし、じゃあその感覚が血管を通って

流れていくイメージをするんだ。」

「これは人によって感覚が変わってくるから、

自分なりにイメージを掴むしかないらしい。」

俺は本を参考にフューに指導をした。

「んーーーーっ!」

「はぁっ。全くできないよシディ。」

「僕才能ないのかな。」

そう言って大の字に倒れる。

「そんなこともないと思うよ。俺も魔力の流れを掴むのには苦労したし、この本にもこの

段階が一番つまづくって書いてあったよ。」

俺はそう言って励ました。

とは言っても実際魔術を使える人間は少ない

らしいから才能も少なからずあるのだろう。

まあフューに意欲があるとはいえ、

魔術を使えることで生まれる危険もあるし。

そう考えれば使えなくても良いの

かもしれないな。

俺がそんなことを考えていると森の茂みの方

からガサガサという音がした。

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