第19話 伝えたい想い

花火スポットか。意味はないかもしれないが、何が刺激になってフューの心を開くか

わからない以上試す価値はあるな。

「オッチャンその花火スポット教えてくれ!

 あの子の心を開きたいんだ。」

嘘は言っていない。

「なんだまだその段階かよ。

だったら行くしかねぇな。」

「まずは、この道をまっすぐ行って〜」



オヤジが教えてくれたのは祭りが行われているところからは少し離れたところにある

山道だった。なんでも坂を登って上まで行くと

花火がなくとも祭りの明かりだけでもかなりの絶景らしいのだが...

「おぉ...。」

これはすごい。

俺がそこまで綺麗な夜景を見たことがないのもあるのだろうが、少し感動した。

〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜

花火が上がるのは三十分後。そこが勝負だ。

それまでにお前の想いを伝えろ。

〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜

俺の想い。

フューに伝えなければいけないこと...。

フューはここまで何も言わずについて来たが、

相変わらずの無表情だ。

「フュー...。」

「俺、お前のこと1人にしないから、勝手にいなくならないから。ずっとそばにいるから。」

ダメだ...何を言ってるのかわからなくなってきた。

「お前のこと裏切らないし、死なないから。

 だから...だから...」

俺は何を言ってるんだ...クソッ...もっとほかに...

言葉に詰まって視線が安定しない。

だが、その視線が右往左往する内に

鮮やかな赤い瞳に吸い寄せられた。

だが、その目に光はなく生気がない。

「だから......」

「だから...俺を見てくれ。」

俺は何を言ってんだ...クソッ失敗...し..た...

俺が自分の思いがけない発言を後悔していると、さっきまで生気のなかったフューの瞳に

光が灯った。

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