第10話 大発見

最後に魔術の同時使用だがもしこれができれば魔術でできることの幅は広がる。

例えば水を相手にかけた後に雷で感電させるとかな。左右どちらの手でも魔術が使えることは

以前に試しているから、後は詠唱だけだ。

あくまで俺の予想だが、最初の一節が

関数の呼び出しだとするならば

一節目を二つとも続けて詠唱しその後二節目も同じように詠唱し、最後は従い導けの定型文で締めれば良いはずだ。

よし、今回は水と雷で行こう。

俺は両手を前に向け魔力の流れる

イメージをし、詠唱を始めた。

「「恵みの精よ 怒りの精よ  

渇きを潤すため 貫くために  従い導け」」

ポチャンッ

詠唱を終えると俺の予想とは違った光景が

目の前にはあった。

右手にだけ水玉があるのだ。んー実験失敗か?それにしてもなんで水だけは出力できたんだ?

とりあえず打っとくか、速度はそんなに

早めじゃなくていいから...


バビュンッ バシャァァッバリバリッ


俺の流した魔力量とは裏腹に水魔術の限界を

超えた速度でその水玉は飛んでいき、

その後衝突した木に電流を流した。

まじか...。これは想像以上の収穫だぞ。

大発見だ。

今のはたぶん水魔術に繋げるように雷魔術を

詠唱したから水魔術をベースに雷魔術の特性が

乗ったんだ。

なるほど。同時に詠唱するとこうなるのか。

その後順番を逆にして試してみると今度は

雷魔術をベースに水魔術の特性が乗っていた。

すごい。すごいぞこれは。思っていたものとは違ったが例えばこれを使えば、

土魔術に雷魔術を乗せて帯電する剣を

作ったり、土魔術をベースに火魔術を乗せて

溶岩なんかも作れるかもしれない。

火魔術いらない子問題もこれで解決だ。

そしてここで一つ疑問が浮かぶ一体いくつまでの魔術を掛け合わせられるのだろうと。

だがしかし思った以上に

熱中していたのだろう。

もうすぐ五時半を過ぎる。

デアルとの約束の時間だ。

大人の足であればそう時間はかからない

だろうが子供の足ではどこへ行くのにも

時間がかかるのだ。

この実験の続きはまた今度やるとしよう。

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