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14日、日曜日の午前中。宏斗と両親は教会から帰ってきたばかりだった。広い西洋風のリビングで片付けを始める家族。
「宏斗、お父さんとお母さんはどうしても今日もここを離れないといけない用事があるんだ。防犯については心配いらないよ。カケコムの人が直してくれた。留守しているだけで安全だからね」
「わかった」
しかし、二度あることは三度あるとはよく言ったものだが、今回向こうさんは正攻法、しかも真正面をきって白昼堂々押し入ってきたのである。
「一人でもなんとかなるよ」
と宏斗が言った瞬間、玄関口が爆破され、両親があわてて宏斗をかばう。フルフェイスのヘルメット六人組の登場だった。
「また遭ったな、坊や」
一人が言う。
宏斗は、それが無駄に終わると思っていたが、そいつに向けて駆け出し、そして渾身の力をこめて男の一人に蹴りを入れる。
が、所詮力の差は歴然としていた。
「勇気は認める。だが無駄だな、ボウズ」
フルフェイスヘルメットの集団の別の一人が次いでこう言った。
「ねぇお母さんとお父さん、この子を人質にもらいますよ」
父が懇願する。
「き、金庫なら、口座へのアクセスなら何とでもなる! 宏斗、宏斗だけは」
「あぁん? じゃぁ、誠意ってものを見せてもらわないとねぇ」
服の首筋あたりをひっ掴まれて跪いている宏斗のお腹に、蹴りが入れられる。
宏斗は声を出さずに嗚咽した。
「や、やめろ! 金は出すから!」
と、その男の頭に何かが振り下ろされた! 母親が椅子をもってぶつけたのである。
「ってえなこのババア! ぶっ殺すぞ! こいつがどうなってもいいのか」
再び宏斗に入れられる蹴りの一発。
両親が何かを口にしようとしたその時である。壁にあったステンドグラスを破って一人の若い女性が降り立った。
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