「www」と「草」と「笑」

「www」と「草」と「笑」

　……あのさ、とりあえず叫んで良い？

「それは草。草過ぎる（どうしてこうなった！？）」

『www』

『草』

『笑』

　これらは全て『笑う』とか『面白い』とか、そんな意味である。

　ネットの海を泳いだことがある人はきっと知っているこれら。

　というか、毎日のように使っている人もいるんじゃなかろうか？

　かくいう俺も1日に5回は使っている。

　……「1日に5回は使っている」じゃねえよ。

　そんな現実逃避はいいんだよ。

　この状況をどうにかしてくれよ。

　……説明しようっ！

　俺、奈間笑御手伊（なまえみてい）（某SNSでのアカウント名）は人間だった。

　気づいたらネットスラングの『笑う』とか『面白い』とかを担当する言葉になっており、まず思ったのが「俺転生してね？」だ。

　……どうでもいいな、こんなこと。

　そんな俺の悩みは一つ。

　声に出して喋ろうとするとネットスラングの『笑う』とか『面白い』とかを担当する言葉になってしまうことだ。

「草www（こんな風に）」

　これ、なかなかに爆笑しているときのあれだな。

　まあそれは置いといて。

　ルビを振ってもらえてるだけマシと考えた方が良いのかもしれない。……知らんけど。

　せっかくだし、遊んでみるか。

「笑wwww（人間の俺、死んだのかな？）」

「草生える（あーあ、まだやりたいことあったのになぁ）」

「笑笑流石に草wwww（ってか、どうしてネットスラングの『笑う』とか『面白い』とかを担当する言葉になったんだ俺？）」

　……笑えねぇ。

　ネットスラングの『笑う』とか『面白い』とかを担当する言葉はいつもこんな気持ちだったのか？

　それに気づきもせず、俺は……。

　困った時には「草」生やし、

　笑った時には「www」使い、

　気分でたまに「笑」にする。

　……ネットスラングの『笑う』とか『面白い』とかを担当する言葉になんて失礼なことをしていたんだ。

　もしも人間に戻れたら、うかつにネットスラングの『笑う』とか『面白い』とかを担当する言葉を使わないようにしよう。

　それが俺、奈間笑御手伊（なまえみてい）からネットスラングの『笑う』とか『面白い』とかを担当する言葉へのせめてもの贖罪だ。

「その心、忘れるなよ——」

＊＊＊

「夢……？」

　目が覚めたらいつもの天井があった。

　最後に誰かが何か言ってたような気もするけど、なんだっけ？

　……ま、いっか。

　数分後、某SNS奈間笑御手伊（なまえみてい）のアカウントにこんなものが投稿される。

『なんかよく分からな過ぎる夢見たんだけどwww

　なんだったんだろう、あれww』