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ミツキちゃんのことは、しばらく庭で遊ばせることにして…
善行さんは、さて、どうしたものかなぁ~と、考え込んでいました。
まずは、猫用のエサです!
今までのように、ネコまんまでは、可哀想。
ボスには、あまりものを欲しがるだけ、食べさせていました。
かつお節や刺し身や、焼き魚を少しばかり。
だけどシロには、ボスと同じではいけないでしょう…
「さぁて、忙しくなるぞ」
少し迷惑そうな声を出すものの、その実、嬉しいのです。
よっちゃんが来たら、相談してみよう。
よっちゃんのカミさんならば、(賢い嫁さんだから)きっといい知恵を
拝借出来るに決まっています。
そう考えると、なんでもないことのように、思えてくるのです。
あのお母さんは、放ったらかしの印象を受けていたので、誰かに相談に
のってもらった方が、いいのかもしれない…
などと、思うのです。
そして縁側で立ち上がると、ミツキちゃんに向けて、声をかけます。
「ミツキちゃん、朝ごはんは、食べたかい?」
植え込みの陰で、シロと戯れていたミツキちゃんは、初めて気づいたかの
ように、驚いた顔をしました。
「まだ~!」
善行さんの方を向いて、元気よく声を張り上げます。
善行さんは「やっぱりな…」とため息をつくと、
「どうする?おじさんトコで、ご飯を食べるかい?」と聞きます。
「うん!」
ぱぁっと、ヒマワリが咲いたかのような、明るい笑顔をして見せました。
「お母さんは、どうしてるの?」
そう聞くと、ミツキちゃんはビクン!として、
「まだ、寝てる…」と言います。
「そうかぁ~」
善行さんは眉をしかめて、
(困ったことに、巻き込まれたぞ!)
そう思います。
「お母さんに言ってきた?」
ミツキちゃんは、ボンヤリとした顔をします。
「なんで?」
「なんでって、心配するだろ?」
母親なんだから…
「だって、寝てるんだもん!」
ミツキちゃんは、シロを抱っこしたまま、近付いてきました。
キョトンとしています。
「ママね、『テイケツアツ』なんだって。
朝起こすとね、機嫌が悪くなるから、起こせないんだ…」
ミツキちゃんは、何もわからないまま、部屋の中を見渡しました。
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