22
善行さんの言葉に、ビクッと女の子は反応しました。
「いいの?」
ようやく目を上げました。
「あの子は、君の猫だ。
君はあの子の世話に来る。
そのために、毎日来てもらわなきゃあいけない。
オジサンの手伝い、出来るかな?」
女の子は目を丸くして、善行さんを食い入るようにして見つめました。
サァ~ッと、血の気が戻ってきたようです。
「うん!」と大きくうなづくと、
「はいっ!」と言い直します。
それを見て、善行さんは頬を緩めるけれど、わざと固い表情を浮かべて、
「誤解しないで!
ボクはあくまでも、ボスと同じように、本人のしたいことを、
邪魔しないだけだ。
だから、この子がイヤと言ったら、それはそれで、仕方ない。
悪いけれど、他を当たってくれ。
でも、この子がボスと一緒に、ここにいたいと言うのなら、追い出したり
はしないよ」と言いました。
ミツキちゃんは、いちいち善行さんの言うことを、うなづいています。
「だけど、この子はどうかな?ここにいたいのかなぁ?」
ミツキちゃんは不安そうに、聞きました。
善行さんは、う~んと考え込むと、
「聞いてみるか?」
「うん!…はいっ!」
と言いつつ、ミツキちゃんはようやく、腕の力を緩めました。
そぅっと、子猫を下におろすと、子猫はじぃっと、ミツキちゃんを見据えています。
「ねぇ…猫ちゃんは、どうしたい?
ここに置いてもらう?」
ミツキちゃんのか細い声に、子猫は丸い目をひた、と見据え、そのあとに
ミャーと鳴きました。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録(無料)
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます