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 だから極力、子供に近付かないようにと、気を付けていたのだけど…

しかしここは、自分の家。(兼 仮店舗)

どっちみち、客が来なければ、商売あがったりなのです。

客足はほとんどない、といっても過言ではありません。


「この猫ちゃん、可愛いねぇ。お嬢ちゃんの猫?」

それでも善行さんは、その女の子と仲良くなる作戦は、まだあきらめては

いません。

まずは、猫の話題で、女の子の気を引こうとしました。

セコイ作戦ですが、それ以外は思いつかなかったからです。

 その子猫は、まだ生後間もないくらいの、壊れそうなくらい華奢な

体をしています。

(もっとも善行さんは、猫のことは詳しくないから、よくわからないの

 だけれど)

どういう経緯で、ここでこうしているのか、善行さんにはわからないのです。


 その女の子は、「猫」という言葉に、かすかに反応します。

おそらく動物が好きなのだろう、とあたりをつけていました。

それにしても、まったく返事をしてくれないので、意思の疎通がうまく

取れなくて、善行さんは困り果てていたのでしょう。

どうしたものか…と、頭をひねっていると、そこへ一人の女性が、

通りかかりました。

女の子を目にすると、ツカツカと近寄って来て、腕を引っ張って、立たせようと

していたところでした。

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