第2話 一生の友との出逢い
悪ガキ山成少年と怜也少年は職員室で専ら話題の絶えない二人となった。
訳あって縁あって脱サラした親父は同じ中学の職員室に居た。いつも私の話になるときは離席を命じられていたそうだ。
今、思えば針の筵以外の何物でもない。笑える。親父は大阪で勤めていたがプロジェクトに失敗しストレスから突発性難聴を患い
責任を取って会社から退いた。今思えば、親父も家族を守るために必死だったのだろう。
家族は皆、心配こそしていたが身体に変化が出るのは案の定だった。稼ぎこそ少なかったが
家族のために必死で体を売って学校関係に就職できた。しかし、悪さばかりする息子に手を焼き親父も間違いを起こした。
浮気か不倫か。そんな事はどうでもいいが、家族を崩壊させたのだった。
怜也少年がグレるのも頷けるたった一つの過ちだった。
そこから怜也少年は全てに反抗し大人を信用しなくなっていってしまった。
―――それからだった。
中学校の体育館は2階とは呼べないが通路があった。普段は誰一人そこに立っていないが次第に忘れかかっていた
奴らを思い出してしまった。それは黒い影で顔の半分は目。半分は口で埋まっている。唇は分厚く、鼻はない。
常に歯を剥き出しにしていてケタケタとこちらを指を差して嗤う。首を傾げては人ならざる動きで
止まったかと思えばこちらをジッと見つめまた嗤う。最初は一人と思っていたが次第に数は増えていき体育館の2階通路部分を埋めていた。
全校生徒が集まる中、まるで独りぼっちのようにも錯覚させるような奴らの視線。
それは小学校の時に入院していた時にも感じた視線だった。
奴らが付きまとった人は永く生きられない。それは病院に居る時に本能的にそう感じた。
怖くなった。何もかもが訳が分からなくなっていった。友達の前では笑っておどけていても心では常に恐怖と戦っていた。
手にはギターとラケット。紛れもない戦友だ。なんとしても生き抜こう。生き抜いてみせる。そう決意していた。
筆者には中学1年で付き合った明希という彼女がいたがすぐに別れてしまい、悪ぶっていた私に近づく女子も居なかった。
同じ中学では付き合えないと思い、テニスの試合で知り合った他校の真美という生徒と付き合った。
怜也少年。モテるねぇ~。…と自分で言ってみる。
中学校1年では文化祭をした。主人公だった。先輩たちからはそこで認知されることとなる。
虐められる日もそう遠くはなかった。女子のこちらを見る奇異な目。廊下を歩けば道がバッと開き、怖がられていた。
男子とは仲良く過ごした。が、俺を気に食わない連中も多かった。
どこに居ても俺は敵が多いな…。まあ、いっか。無難に生きていこう。
中学1年ではソフトテニス部に入部した。そこでは小学の時に一緒に居た金子や大樹、花道、道下、拓人、大野、下西、澤井、堀、濱元。
隣町から来た、阪本、中井、平本、大関、川西etc…
女子には松本と浜野、小平、大橋、涼木、今や海外で大活躍している中島。そして、俺の小学生の初恋のヒト、明智、くらいしか憶えていない。
特に小平とは仲が悪かった。後述するが今でもお互いに切磋琢磨し合う仲だ。
顧問は最悪だった。浜中という顧問だった。所謂、文武両道大好き人間。
頭もよく、スポーツもできる人間ばかり贔屓していた。
頭も悪く、悪さばかりする小学生の頃からテニスをしていた俺は気に入られなかった。
裏の校門の壁には大きくスプレーでその顧問に向けて死ねという文字が書かれていた。
俺の姉の代で唯一、全国大会に出た東口先輩の仕業だそうだ。
姉の舞とは3年離れているため、直接会えなかったがすごく尊敬した。
そんな行動ができることに俺は密かに憧れを抱いていた。
しかし、彼に憧れる女子は多かった。
俺が中1の時に憧れた同じソフトテニス部の3年生の先輩、英里奈先輩。
中2の絵理子先輩や蒼先輩もまた東口くんに憧れていた。
2年生の先輩は同じ小学校の大東先輩、小東先輩、鮎原先輩、篠崎先輩、杉元先輩etc …
3年生の先輩は木澤先輩くらいしか憶えていない。
テニス部ではないが、密かに同じ学年にいる吉野の姉に恋心も抱いていた。
吉野は現在、自衛隊に所属している。
そんな部活で毎日汗をびっしょり掻く中、顧問の問題発言は私の心を蝕んでいった。
2年になったある日、部活に行くのが嫌になり、俺は家庭科の教室に居残りしていた。
そこで家庭科の教師である乙骨のババアに嫌がらせをされた。
「部活行かなくていいの?」「大丈夫っす!俺、幽霊部員なんで!」この発言が拙かった。
顧問には直ぐにこの発言が伝わり、私は暫くの間、謹慎処分を受ける事となった。
2週間が経っただろうか…。私の待つ時間は永かった―――
どうしても顧問に謝りたくなかった私も大好きなテニスが出来なくなる事は辛かった。
だから、謝った。「もう一度、僕にテニスをさせてください。」頭を下げた―――
顧問は一言。「…遅い。」とだけ放ち、コートに入れてもらえる許可を得たのだった―――
中学2年にもなると面白い面子のオンパレードだった。楽しかった。ただただ毎日が楽しかった。
廊下側一列全員仲良し組で、山元貴と森山、村神と俺、あと…誰だっけ?(笑)
村神とは小学校からの付き合いでとても仲が良かった。当時の週刊少年ジャンプはNARUTO、ONEPIECE、BLEACH、テニプリ、デスノートと
黄金期を迎えていた。俺は少ない小遣いの中、NARUTOを買い集めていた。登場するサスケに憧れのようなものを感じていた。
小学生の時には周りからはサスケマンと呼ばれるぐらいサスケを敬愛していた。
村神はBLEACHを集めていてよく貸して読ませせてもらっていたものだ。
塾にも通った。そこで出会った篠崎と平山とは今でも仲がいい。
今後、山成と篠崎とは後述する雅と大樹と鈴森のバンドに誘うこととなる。
2006年。GLAYのTERUが長年付き添っていた妻と離別し、PUFFYの片割れと結婚することとなり世間からは大バッシングを受ける事となる。
ROCK’N’ROLL SWINDLE〜Re:birthつまりロケンロー詐欺。GLAYと怜也少年にはぴったりの言葉だった。怜也少年の心を完全に射止めたのだった
そんなこんなで楽しい時間を過ごし中学校3年生になったとき、運命に引き寄せられるかのように親愛なる友とも兄弟とも呼べる
一生の友と出会った。そいつは下重雅という。当時から人相が悪く、まるでこの世の全てを恨んでるかのような目つきだった。
何か同じ匂いがすると思っていた。当時の俺はというと、休み時間になっては校舎の中庭で遊ぶ生徒たちを俯瞰した目でいつも眺めていた。
それを雅が見て何かとなぜ人と群れずに孤独を愛しているのだろうと不思議に思っていたそうだ。
―――そう、筆者は群れることが苦手だ。それは時に人を威圧し威厳を見せる弱きものがする行為だと本能的にわかっていたから。
それと同時に俺と関わると碌な事が無いと他人に伝えるかの如く、孤独を愛していた。
そんな私を怪奇な眼で見る輩は多かった。またそんな目からも逃げたかった。唯々、私は人が怖かっただけだ。
――――― 人の目が恐いから俯いて生きてきた 肩で切る風を睨む ――――――
そんな歌詞が2010年にリリースしたGLAYの風にひとりという楽曲にある。私の為に作られたのかと思うくらいだ。
それからというもの雅とは苦楽を1年間ともにした。二人で悪さをしては笑っていた。
ある時、職員から逃げる雅はかなり高さのある屋根から飛び降り、足を骨折した。
学校が徒歩圏内にあるため、本来、自転車通学が禁止されてる俺はだるさもあり自転車を勝手に乗って近くにパン屋に停めて
通学していた。雅を家まで運ぶ為、二人乗りように改造した。足元にはステップをつけて荷台には雅のマンションからパクった
子供用シートを巻いてケツが痛くならないようにした。荷台もケツを上げて背もたれを作りまるでヤン車仕様だ。
楽しかった。唯々、毎日が眩しく、空は青かった――――――――
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