第2章:未知の航海


1


プロキシマ・ケンタウリbへ向かうアステリア号は、地球から約20光年離れた目的地に向けて順調に航行を続けていた。宇宙空間に出てから数日が経ち、クルーたちは各自の役割に集中していた。


船長の西海正隆は、船内のブリッジでデータを確認していた。彼の目の前に広がるスクリーンには、プロキシマ・ケンタウリ星系の詳細な地図が映し出されている。


「航路は順調だな。」正隆は自分に言い聞かせるように呟いた。


副船長の岩崎が隣で頷いた。「はい、現在のところ問題はありません。エンジンも安定しています。」

2


しかし、その平穏は突然破られた。突如として通信システムが不安定になり、船内のスクリーンがちらつき始めた。


「船長、通信障害が発生しました!」通信士の山本が慌てた声で報告した。


「原因は何だ?」西海正隆は即座に指示を出した。


「現在調査中です。宇宙線の影響かもしれません。」


正隆は眉をひそめた。「他のシステムにも異常が出ていないか確認しろ。」

3


エンジニアリング部門のチーフ、加藤がブリッジに駆け込んできた。「船長、機械室でいくつかの故障が発生しています。エンジンの冷却システムに異常があります。」


「すぐに修理に取りかかってくれ。」正隆は指示を出し、他のクルーにも対応を促した。


船内は緊張感に包まれ、クルーたちは迅速に動き出した。西海正隆はその様子を見守りながら、自身も対応策を考えていた。

4


数時間後、エンジニアリング部門からの報告が入った。「船長、冷却システムの修理が完了しました。通信システムの障害も解消しました。」


西海正隆は安堵の息をついた。「よくやった、加藤。引き続き他のシステムも監視してくれ。」


しかし、問題はそれだけでは終わらなかった。翌日、船内で未知のウイルスが蔓延し始めた。数人のクルーが体調を崩し、症状が急速に悪化していた。

5


医療担当のドクター・ミヤケが正隆に報告した。「船長、このウイルスは我々が今までに見たことのないタイプです。迅速に対策を講じる必要があります。」


「わかった。隔離措置をとり、感染の拡大を防ぐんだ。」西海正隆は冷静に指示を出した。


ドクター・ミヤケはクルーたちにマスクを配布し、感染が疑われる者たちを隔離室に移した。西海正隆は彼自身もマスクを装着し、ドクター・ミヤケと共にウイルスの特性を解明するための研究に取り組んだ。

6


数日間の緊張した日々が続いたが、ついにドクター・ミヤケがワクチンを開発した。「船長、これで感染を抑えることができます。」


「素晴らしい仕事だ、ミヤケ。」西海正隆は感謝の意を込めて彼の肩を叩いた。


ワクチンの接種が始まり、クルーたちは次第に回復していった。しかし、この一連の出来事は、西海正隆に宇宙探査の過酷さを改めて認識させた。

7


トラブルを乗り越えたアステリア号は、再び順調な航海を続けた。西海正隆はブリッジで星々を見つめながら、これから先に待ち受ける未知の冒険に思いを馳せていた。


「これからも数々の困難が待っているだろう。しかし、我々は必ず乗り越えてみせる。」西海正隆は心の中で決意を新たにした。


プロキシマ・ケンタウリbへの道のりはまだ遠い。しかし、正隆とそのクルーたちは、強い絆と揺るぎない意志でその道を進み続けるのであった。

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