第43話 リディア、メリアと戦う
◆◇◆
「あなたという方は!どうしていつも私の邪魔をするのですか!」
宿の前の通りでメリアと向かい合ってそう言うと、リディアは【火炎斬撃】によって剣に炎を纏わせて、メリアに斬りかかった。
だが、メリアはそれを防御魔法で防御しながら言う。
「そんなの知らないから!大体、いつも私の邪魔してくるのはリディアちゃんの方でしょ!」
そう言うと、メリアはリディアから距離を取って、リディアに向けて雷魔法を放ってきたため、リディアはそれを【疾風斬撃】によって風を纏った剣で払うと、力強く言う。
「それは、あなたがリアムさんのことをただ困らせているからです!」
「困ってるんじゃなくてリアムくんは照れてるの!!」
そんな言い合いをしていると、宿の方からリアムが出てきた。
「えっ!?も、もう始まってるんですか!?」
決闘の時以来の二人の戦いが始まってしまっていることに対して、リアムは驚きの声を上げた。
そのことにリディアとメリアは一瞬意識を奪われたが、メリアがすぐに大きな声でリディアに言う。
「確かにリディアちゃんは強いけど、私の方が強いんだから!それを今からわからせてあげる!!」
そう言うと、メリアは両手から炎魔法を出して、それを連続でリディアに放って来たため、リディアはメリアの方に意識を戻すと、それらを全て捌く。
すると、周りに居る魔族たちが二人の戦いに注目し始めた。
「おい、何だあいつら?」
「何だよあの炎、デカすぎだろ!しかも連発!?」
「それ捌いてるあの女の剣士もどうなってんだ!?」
そんな声が広がると、次第に二人の戦いを囲むようにして魔族たちが集まってくると、その戦いを盛り上げるような声が飛んでくる。
「なんか、余計なギャラリーまで増えちゃったけど……とにかく、こうして手数で勝負すれば、リディアちゃんはそれに剣で対処するしかなくなる……でも、剣を使って戦うリディアちゃんが、その剣を防御に使っちゃったら攻撃に転じることができないから、あとはこのまま────」
「私を侮ったことを後悔なさい!」
メリアの言葉を遮って力強くそう言うと、リディアは移動魔法によってメリアが追えないほどのスピードでメリアの裏に回ると、【疾風斬撃】でメリアの背中に風の斬撃を飛ばした。
完全に不意の一撃、これで勝利────かとも思われたが。
メリアは、リディアのことを目で追うことはできなくとも、移動魔法の魔力の痕跡を追うことはできていたため、後ろに居るリディアに対しての防御手段として氷壁を立てて、【疾風斬撃】を防いだ。
【疾風斬撃】を受けた氷壁が崩れ去ると、二人は再度向かい合う。
「……確かに、リディアちゃんはやっぱり侮れないみたいだね」
「その言葉をお返しして差し上げましょう」
その一連の二人の動きを見た周囲の魔族たちは盛り上がった声を上げたが、二人はそんなことを気にせずに戦いを再開しようとしたところで────
「も、もうやめてください!」
リアムは、大きな声でそう言うと二人の間に割って入った。
「リアムさん……」
「お二人は仲間なんですから、こんな風に戦う理由なんてありません!」
「そうは言っても、リアムくん大好きな私とリディアちゃんが女同士な以上、こうして戦うのも必然だよ」
「そ、そんな……」
メリアの言葉を聞いて、リアムは悲しそうな表情をした……が、少し間を空けてから言う。
「僕を大切に想ってくれる二人が、僕のせいで仲良くできないなんて嫌です……だから、僕が……」
続けて、リアムは口を開いて大きな声を出して言った。
「僕が、お二人を幸せに────」
「何の騒ぎだ?」
一人の女性のそんな声が聞こえてくると、周りの魔族たちがざわつき始め、その人物が通れるようにするために、それぞれの魔族が道を譲り、囲いの中に一つの道が出来た。
すると────そこから、白髪で黒のドレスを着ている、色白で美貌を持った、どこか異様な雰囲気の女性が姿を現した。
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