第14話 リアム、決闘に介入する
◆◇◆
「────あなたのような方がリアムさんの頭を撫でたこと、今すぐに謝罪し反省しなさい!」
リディアは、そう強く言い放つと赤髪のエルフの女性に向けて高速な斬撃を繰り出した。
赤髪のエルフの女性は、その斬撃を防御魔法で防いで言う。
「どうしてリアムくんの頭を撫でてあげたことを反省なんてしないといけないの?頭撫でた時のリアムくんの顔、可愛かったなぁ、思い出しただけで変な気分になっちゃいそう……」
自らの紅潮した両頬に手を添えてそう語る赤髪のエルフの女性に、リディアは嫌悪感を抱きながら冷たい声色で言った。
「仮にも決闘中だというのに……やはり、あなたとは相容れないようです────が、その油断が命取りとなります」
そう言った直後、リディアは自身の優れた機敏性を利用して赤髪のエルフの後ろに回り、魔力を使用することで魔法すら貫く強烈な斬撃を放つことができる【魔貫斬撃】を放った。
赤髪のエルフの女性がリディアの方を振り返ったのは、リディアがちょうど防御魔法を貫いた時で、仮に今から再度防御魔法を使ったとしても、【魔貫斬撃】によってそれは無に帰し、何かしらの攻撃魔法を使ったとしても今から攻撃のために行動を起こす赤髪のエルフの女性の攻撃よりも間違いなくリディアの攻撃の方が速い。
もはや、赤髪のエルフの女性に為す術は無────いと思われた時、赤髪のエルフの女性は風魔法によって自らの体を飛ばしてリディアから距離を取った。
そして、二人が改めて向き合うと、赤髪のエルフの女性が言った。
「流石にアストリア家の騎士でSランク冒険者ってだけあって、ある程度の力は持ってるみたいだね〜、とりあえず口だけじゃ無いことはわかったよ」
「私も、一応はあなたが実力だけで言えばSランク冒険者の名を汚していないことだけは認めてあげましょう」
「────じゃあ、次は私が攻撃する番ね!」
そう言うと、赤髪のエルフの女性はリディアに向けて炎魔法を放ってきた。
【疾風斬撃】
リディアは、風を纏った斬撃によってその炎を斬ると、赤髪のエルフの女性との距離を縮めるために高速で駆ける。
が、そんなリディアに向けて、赤髪のエルフの女性は間髪入れずに氷魔法を放ってくる。
【火炎斬撃】
そんな赤髪のエルフの女性の氷魔法を、今度は炎を纏った斬撃によって斬る。
それから少しの間は、その応酬が行われた。
◆◇◆
「これが、Sランク冒険者の人同士の闘い……」
リディアさんと赤髪のエルフの女性が闘っている姿を見ていた僕は、素直に関心を抱いていた。
こんなにも強いのは、今まで僕が見てきた人たちの中だと
僕がそんなことを思っていると、しばらくの間似たような応酬が続いていた二人は一度動きを止めた。
「ねぇ、このままじゃ埒が明かないと思うから、次で互いの本気の攻撃を放ってそれで終わりにしない?」
「良いでしょう、私もちょうど同じことを考えていました」
二人がそんなやり取りをすると、赤髪のエルフの女性は僕に向けて大きな声で言ってきた。
「リアムくん〜!今から本気でやるから、その魔法学校の人と一緒にもうちょっと距離取って〜!」
「わ、わかりました!」
そう言われたため、僕はエルフの女性と一緒に遠くに行こうとした────けど、エルフの女性は顔を青ざめて言う。
「あ、あの方々がまだ本来の力を発揮なされていなかったとは……もしもこれ以上本気の力など出されて仕舞えば、訓練場が……」
エルフの女性が訓練場を見ながらそう呟いた。
僕は、二人の闘いに夢中で訓練場の状況は意識していなかったため、改めてそれを意識して見てみると────壁や地面には穴が出来ており、ところどころに炎魔法によって焦げた後や氷魔法によって凍っている場所などが出来ていた。
……本気を出していなくてこの惨状なのに、確かにあの二人が本気の攻撃なんて放ったら────訓練場どころか、魔法学校の建物自体がどうなるかわからない。
ひとまず、僕はエルフの女性に遠くまで移動してもらうと、二人の方を見た。
すると────リディアさんは、剣にとんでもない量の魔力を込めていて、その剣は魔力によってとても輝いていた。
「リアムさんをお支えすると誓った私が、あなたのような方に躓いてしまうわけにはいきません」
そんなリディアさんと向き合う位置に居る赤髪のエルフの女性も、とんでもない魔力を感じる魔法陣を自らの真上に三重に描き出していた。
「リアムくんの魔力の凄さを誰よりもわかってる私が、リアムくんと関われなくなるなんて、リアムくんのためにも絶対にそんなことにはさせない」
そう言った二人が魔力を練り終えると────リディアさんは大きく振りかぶった斬撃を繰り出し、赤髪のエルフの女性は炎、氷、雷、風の四種類の魔法が合わさった魔法をリディアさんに向けて放った。
────その瞬間。
【風雷移動】
僕は、これ以上二人が訓練場を壊さないように、一か八かでその二人の攻撃の間に割って入って────
「リ、リアムさん!?」
「リ、リアムくん!?」
直後、リディアさんの斬撃と赤髪のエルフの女性の攻撃魔法を同時に受けた。
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