第2話 リアム、下着姿を見る

「────要するに、僕の力量不足でパーティーから追放されてしまったんです」


 洞窟内を歩きながら、今の僕の立場を一番わかりやすく理解してもらえるように、さっき冒険者のAランクパーティーから追放されたことの簡単な経緯を説明して、最後にそうまとめるとリディアさんが驚いた様子で言った。


「何度聞いても信じられません、リアムさんほどのお方がAランクのパーティーから力量不足を理由に追放されてしまうなど……何か、他に事情があったのでは無いですか?」

「力量不足で追放するっていうのはそのパーティーのリーダーだったゼインさんという方から直接言われたことなので、間違い無いと思います……それに、仮に他に事情があったとしても僕がパーティーに不要だと思ったからゼインさんたちが僕のことを追放したことは間違いないと思います」

「ですが、ドラゴ────っ」

「リディアさん!?大丈夫ですか!?」


 何かを話しかけたリディアさんだったけど、突然苦痛の声を上げて自らの鎧の横腹部あたりを抑えてその場に膝をついた。

 僕はすぐにリディアさんと同じように膝を折ってリディアさんの様子を窺うようにしたけど、リディアさんは言う。


「だ、大丈夫です、少しダメージを受けてしまっただけで……っ」


 そう言いながら立ちあがろうとするも、リディアさんはまたも苦痛の声を上げた。


「大丈夫じゃないじゃないですか!リディアさんにはもう回復魔法を使うだけの魔力は残ってないと思うので、僕が回復します!鎧を脱いでください!」

「だ、男性の前で鎧を脱ぐなど────っ!」


 何かを言いかけたリディアさんは、先ほどよりも痛そうにしながら自らの横腹部を抑えた……僕は、これ以上放置しておくと危ういことになるかもしれないと考えると、リディアさんの鎧に手を掛ける。


「失礼します!」

「ま、待ってくださ────っ!!」


 リディアさんが苦痛の声を上げている……リディアさんのためにも、早く治さないと!!

 僕は、鎧を取ったことでリディアさんの痛みを感じている右腹部を直接見ることができた……なるほど、どうして鎧を着ているのにその中で痛みがあるのかと思ったら、炎によって溶けた高熱の鉄が、今まさに溶けている最中なんだ。


「ひゃっ……!?」


 一応、見るだけじゃなくてその鉄の周りの部分のリディアさんの肌を触って他に異変が無いか確認してみるけど、他に異変は無さそうだ。

 それを確認した僕がリディアさんの肌から手を離すと、高熱の鉄をリディアさんの横腹部から払って、適切な温度でその部分を冷やしてから僕は回復魔法【治癒】によってリディアさんの横腹部を完璧に回復させた。


「リディアさん、これでもう大丈夫です!」

「ありがとうございます、リアムさん……でしたら……そろそろ、鎧を着てもよろしいでしょうか?」

「え……?」


 鎧……そうだ、回復魔法を使うためにリディアさんの鎧を僕が脱がせたんだった。

 そう思い、ふとリディアさんが鎧を着ていた部位を見てみると────僕の目には、リディアさんの色白で余計な脂肪の全く無い体や、リディアさんが両手と両腕を使って白の下着で包まれた豊満な胸元を隠すように抑えていて、さらにそのままリディアさんの顔の方に視線を滑らせると、頬を赤く染めて恥ずかしそうな表情をしながら僕のことを見ていた。


「あ、あの、え、えっと……その、こ、これは……」


 僕は、目の前の光景を改めて認識すると、とても顔が熱くなった。

 そして、何度か視界を往復させていると目がぐるぐるして、どうすれば良いのかわからなくなって────頭の中が知恵熱でオーバーヒートして、意識が朦朧として何も考えられなくなった。



◆◇◆

「リ、リアムさん!?大丈夫ですか!?」

「リディアさんの……ぁ……ぅ……」


 体は倒れていないものの、明らかに意識が朦朧としている様子のリアムのことを見て、リディアはそう声を掛けたが、リアムは目の焦点を合わさずに意識があるのか無いのかわからない返答をした。

 それを見たリディアは、普段口角を上げることなど滅多に無いがそれでもリアムなら気を許せると思ったのか、少し口角を上げて言う。


「そんな風に可愛らしい顔を見せたとしても、私の下着姿を見た事実は消せませんよ……このリディア・アストリアの下着姿を見たこの世界で唯一の男性なのですから、リアムさんにはそれ相応の責任を取っていただかなくては」


 そう呟くと、リアムが意識を朦朧とさせている間に鎧を着ると、リディアはリアムにある提案をすることと決めた。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る