第5話
「おい木藤、てめぇやりやがったな」
「あんたが変なこと言おうとしたからでしょ」
朝に来た道の逆を辿りながら優也が木藤に文句を垂れている。
「なんで嘘なんてついたんだよ、素直に大司の家に行くって言えばいいじゃねーか」
「女の世界はめんどくさいのよ、1人で男の家に行ったなんてバレたら絶対変な噂流されるし」
「なんかめんどくさそうだな」
「そう、めんどくさいのよ。だから今後はそういうこと人に言わないでね」
木藤はため息をつきながら優也を睨みつけた。
「まぁまぁ、とりあえずバレなかったんだからその辺で許してやりなよ」
「あんたもよ、北方」
「え、おれ?」
「あんたが先に言い出しそうになったんじゃない」
「まぁ聞かれたからな、素直に言わないと」
「次はないから」
「…はい」
こっわ、まじこっわ。
けど、木藤がここまで言うってことは本気で焦ってたんだな。
女子の世界は複雑だ。
「ていうか、北方」
「ん?」
「なんで断ったの?」
「何が?」
「大野さんや姫花達とのごはん会」
まぁ、実際断ったのは優也で、俺はそれに乗っかっただけなんだけど。
「先にお前らと約束してたしな」
「でも、あのマドンナたちと一緒にご飯行けるなんて機会そうそう来ないわよ?」
木藤の言う通りだ。
あの3人とご飯に行くなんてイベント
そうそうあるわけがない。
「確かにそうかもしれないな。でも…」
「でも?」
「お前らとこうして一緒にいられる機会もそうそうある訳じゃないしな」
「…そっ」
「大司、お前ってやつは…」
優也が目を潤ませてこちらを見てくる。
くそ、まじまじと見たら余計イケメンだなこいつ。
自分が言ったセリフを思い出し気恥ずかしくなってきた。
そんなことを考えているといつのまにか家の前に着いていた。
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