第2話
教室の前についた。
中からはクラス替え特有の華やいだ空気を感じる。
いつになっても新しい環境というのは緊張するものだ。
友達できるかな、、、
「大司、なにやってんだ。早く入ろうぜ」
優也がドアをあけ、それに引っ張られるように俺と真白が後に続いて教室に入る。
「ましろーーん!!!」
ゆるふわな声と共に、小柄な体が真白にダイレクトアタック。
真白はそれを受け止め、笑顔でそっと頭を撫でる。
やだ、かっこいい。
「おはよう姫花、やっと同じクラスになれたね!」
「うん!ましろんと同じクラスってわかった時、うれしくて飛び跳ねちゃったよぉ!」
「私も嬉しかったよ!それに、大司も同じクラスだしね。」
「あ、そっかぁ。北方くんと矢幡くんも同じクラスになったんだよねぇ。1年間よろしくねぇ」
「あぁ、よろしくな、宮久保」
「ふん」
彼女の名前は宮久保姫花(みやくぼ ひめか)。
特徴的なモンブランのような色合いの茶髪とふわっとしたロングヘア。
背は小柄だが、それに相対すかのような豊満なむ、、バストが男の目を釘付けにする。
それに加え、フランス人形のような顔立ちと少し眠そうな目と話し方をしているところが保護欲をそそり、拍車がかかった男達を告白へと飛び立たせる。
ちなみに飛び立った男達の告白成功率は・・いや、もう言うのも野暮だろう。
「あれ?千紘はいないの?」
「千紘ちゃん?さっきまで一緒にいたんだけどぉ、、、どこにいったのかなぁ?」
「うしろだ、うしろ」
「きゃ!びっくりさせないでよ千紘!」
「千紘ちゃん、そこにいたんだねぇ」
「最初からここにいたんだがな・・・君たちが全く気づかなかっただけだろ」
若宮千紘(わかみや ちひろ)。
通りすがりに振り向くほど美しく、それでいて吸い込まれそうな漆黒の長髪をなびかせている。
凛として動じず、それでいて見る者を緊張で動けなくしてしまうような美しい顔立ち。
そこに少しクスッとした笑みを浮かべることで、男女問わず心をいとめてしまう。
昔の日本のお姫様ってこういう人だったのだろうと思わせる佇まいがそこにはあった。
が…
「北方、お前も同じクラスだったな」
「そうだな、1年間よろしく」
「よろしくだと?違うな、お前は私の敵だ、よろしくすることなんて何もない」
「その立ち位置はもう勘弁してくれ、俺には荷が重いから」
「ふざけるな、今学期のテストこそ、全教科でお前をねじ伏せてやる」
なぜか俺は敵対視されている。
「一年の頃はたまたまだって何度も説明したろ」
「なるほど、お前は私がたまたま偶然運悪く何度も1教科だけ負けるようなやつだと言いたいのか?」
「そんな意味で言ったんじゃ無い」
若宮千紘はこの学校のなかで一番勉強ができる。
本人の努力もあってか全国模試も常に10位以内をキープしてる。
ただ、俺は一年生の頃あったテスト全てでいつも1教科だけ若宮に勝ってしまっているのだ。
「今回はどの教科に本気出しているんだ?
国語か?英語か?」
「俺は授業で説明されたところを軽く予習しているだけで、そこがたまたま問題として出たからなんとか解けてるだけなんだよ」
「ふん、2年生では全教科でお前を必ず超える、覚悟しておけ」
このクラスで1年間やっていけるかな…
(おい、このクラスやばくないか…)
(三大マドンナが全員同じクラスじゃねーか…!)
(やばいー!矢幡くんと目があったー!)
周り気づけばの視線がこちらに向いてる。
それはそうだ。
学園の三大マドンナと学園1のイケメンが
揃いも揃って同じクラスなんだもんな。
この学校には三大マドンナと呼ばれる生徒達がいる。
桜のマドンナ 大野真白
紅葉のマドンナ 宮久保姫花
桔梗のマドンナ 若宮千紘
それぞれが他を圧倒する美貌と能力を持っており、なにより手が届きそうにない存在感が彼女達をマドンナたらしめている。
このマドンナたちの隣にいれるような奴なんてこの先出てくるのか、想像しても全くイメージが湧かない。
そんなことを考えていると黒板側のドアが勢いよく開いた。
「お前ら早く座れー、HR始めるぞ」
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