鴎V

次の日、私、朝からずっと心躍っていたワ。なんたって又アノ人に会えるんだから。


約束の時間になるまで、随分と永く感じたワ。それはそれは永く、このまま若い珊瑚になって、浜で淋しく朽ちていくんじゃないかしらって。


ソウ、未だ酔いも醒めていなかったワ。こんな商売しているのに、駄目ネ、二日酔いなんてしちャア……


痛む頭で考えていたワ。もし来なかったら。イヤ、アノ人が来ない筈はない、ネェ、何故そんなに無神経に信じられるの。一夜の夢を。物語なら、このまま会えないことの方がずっと、余程キレイじゃぁないのッてネ……。 波の様に次から次、録でもないことばかり考えてしまったワ。


ウフフ、今の貴方みたいな酷い顔だったワ。真っ赤で腫れぼったい、蟹みた様な顔。フフフフ。エヘ。ヘ。


あらァ、ご免なさいネ。蟹、蟹って失礼。許して下さりませヨ。


彼はちゃアんと約束通りの時間に来たわ。私に逢いに。ソウ、私に逢いに来たのよ。彼。フフ。ウフフアハハアハアハハハハ。


彼、ネ、花を抱えていたワ。私に下さるンですって。紳士な方ヨねェ………。ソウ、紳士なのヨ彼。

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