静かな朝

てると

静かな朝

 ツイッターでの哲学ごっこをやめた。それを宣言したのは夜のことだった。その日は一睡もせずに朝を迎えた。

 文京区の街道沿いにある部屋には、車が通り過ぎる音が聞こえてくる。畳の上に座って、ぼんやりとした。どうでもいい、急にどうでもよくなった。車の音がやんだ。これまでの野心が-或いはこの野心に明確に気づいたのはつぶやきの志向をやめたからだ-これまでの野心が、一挙に飛び去った。青い鳥。頭の中の言葉がやんだ。語ることではなく、作ることを始めようと思った。雲を湛えた清澄の空は青く、黒ずんだ机はまもなくその本来の白を回復するだろう。今朝は、レモンティーにしようと思った。

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静かな朝 てると @aichi_the_east

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