第9話「グリフォンとしろいカミさま」

「おーい、おおーい」


 こえがしました。



「あ、神様かみさまだ」


 レンがいいました。



「おうい、レン。大変たいへんだ!」


「どうしたの、神様かみさま。びっくりすぎて、かみさまにみえないよ」


「いま、そんな冗談じょうだんをいっている場合ばあいか!」





「すごく面白おもしろかおだよ」


「レン。冗談じょうだんはやめなさい」


「わかったよ。それで、どうしたの?」


「おまえを討伐とうばつ、つかまえてくびをしめようと、赤毛あかげ青年せいねんがグリフォンにってやってくるというが」


「それ、ぼくだよ」


 アルブレヒトはいいました。


「きみたちは、ボクをたおしにきたんだ」


 グリフォンはくびよこふりました。





「ぼくら、そんなことしないよ」



「そうだよ。ぼくのかげをみて。ドラゴンかたちをしているだろう」


「そうじゃったのか。 レンがつかまったかとおもってあわてたわい」



 神様かみさまはそういうと、しろくてながいとり姿すがたのままで自分じぶんかげをみました。


 神様かみさまかげはしろくてながいとりではなく、つばさをはやしたひと神様かみさまのままでした。




「ワシはむかしおとうと人間にんげんうばわれておるんじゃ」


かげに?」


「いいや、人間にんげんだった。かぜ妖精ようせいも、やつらがっていったんだ」


突然とつぜん家族かぞくがきえてなくなるのは、つらいよ」


 レンはいいました。かなしそうでした。


「その人間にんげんは、人間にんげんっていったんだよ」


 きつねのレンもさみしそうにはなしました。

 

「ひどいよね。そんなことができるのは、人間にんげんじゃないよ」


 レンはいいました。もっともっと、かなしそうでした。




「それは、湖鏡みずうみかがみとびらからですか」


湖鏡みずうみかがみとびら? あれには、とびらがあるのかい」


「ぼくにはおにいさんがいたんだ」


 アルブレヒトは地面じめんつめながら、かないように頑張がんばりました。


「おにいさんのトモダチに、水龍すいりゅうさんがいたんだけど、人間にんげんちからられちゃったの」


 レンも地面じめんつめながら、かないように頑張がんばりました。


「いまは、ぼくらの世界せかい王様おうさまが、とりかえしてくれたんだ!」


 アルブレヒトは得意とくいげになりました。


 グリフォンもをしました。



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