第4話「グリフォンとおおきなオオカミさん②」

やまのてっぺんに到着とうちゃくすると、アルベルトとグリフォンの前には、まっしろくておおきなおおきなオオカミさんがすわっていました。


「そろそろるとおもっていたよ」


 オオカミさんは、まっしろくておおきなおおきなしっぽをフリフリしました。


 グリフォンも、まけないように細長ほそながさきっぽがフサフサのしっぽをフリフリしました。


「こんにちは!」


 オオカミさんはなにもこたえません。


「はじめまして!」


 それでも、オオカミさんはなにもはなしません。




「ボクの名前なまえは、アルベルトといいます!」


 元気げんきよく挨拶あいさつしたアルベルトだったが、おおかみ無言むごんのまま、しっぽをフリフリした。


 我慢がまんできなくなったグリフォンは、おおかみいてみることにした。


「ねえ、オオカミさん。ボクはグリフォン。キミのナマエは? ボクのこえ、きこえている?」


 不安ふあんそうに挨拶あいさつしたグリフォンだったが、おおかみ無言むごんのまま、しっぽをフリフリしただけだった。




「あ」


 アルベルトがおおきなこえをあげた。


「まってね。言葉ことばがわかる魔法まほうをかけるよ!」


 すると、しろおおかみうしろから、すこしちいさいおおかみかおした。


きみ二人ふたりも!」


きみたちがここへられるように、神様かみさま魔法まほうをかけてもらったんだ。大丈夫だいじょうぶ言葉ことばこえるよ」


 ちいさいおおかみのしっぽがフリフリすると、おおきなおおかみのしっぽもフリフリした。


「これはボクのかげなんだ」


 そういうと、おおきなおおかみはちいさなおおかみかげもどると、地面じめん野原のはらうえくろくなった。


名前なまえまえに、ひとつだけいたいことがある」


「なあに?」


「ボクは、おおかみじゃない!」



まちひとも、みんなおおかみだってんでいたよ」


「ボクはきつねだ!」



 そういうと、おおきなこえげた。

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