第2話「グリフォンとちいさなトモダチ②」


 むかしむかしのおはなしです。


 地球ちきゅうというほし太陽たいようちかくにありました。そのほしあおく、とてもうつくしいみず惑星わくせいでした。


 紀元前きげんぜん12世紀せいきごろには、現在げんざいのようなヨーロッパ大陸たいりくがありました。


 そのむかしローマというおおきなくにのまえは、いまのイタリアにあった古代こだいおおきなくにがありで、つよ軍隊ぐんたいとたくさんの神様かみさまがいました。


 そのイタリアのある辺りに、ちいさな子狐こぎつねすんんでいました。


 子狐こぎつねは、ほか赤狐あかぎつねちがっていました。


 赤狐あかぎつねがオレンジ色でサツマイモの様ないろをしているのに、子狐こぎつねしろで、みみさきっぽだけがくろく、背中せなかには十字架じゅうじか背負せおっていました。


 ちいさな子狐こぎつねめずらしいから、お金持かねもちが毛皮けがわにしようとかんがえていたので、人里ひとざとからはなれて生活せいかつしていました。


 おかげでちいさな子狐こぎつねは、やっとひととしることになりました。

 はじめての誕生日たんじょうび子狐こぎつねがいつものようにみずうみのぞいていました。

 すると、かぜって神様かみさまりてきていいました。


ちいさなちいさな子狐こぎつねさん、どうしたんだい」


 すると、ちいさな子狐こぎつねこたえました。


「あのをみてる」


「あの目?」


 神様かみさまはキョロキョロしましたが、だれもいません。


「どこの目?」


 すると、ちいさな子狐こぎつねはいいました。


みずうみかがみだよ」


 神様かみさまこまってしまいました。なぜなら、みずうみかがみりゅうにしかみえないからです。


 みず加護かご必要ひつようなのです。


子狐こぎつねみずうみかがみているだろう。わしらにはみえないよ。みえるのはりゅうで、みず加護かごがあるものだけだ」


「そうだった。どうしよう」


「なにがみえるのかね?」


あかい、おひさまのいろふたつ」


 神様かみさま太陽たいようのきらめきから、かつて地球ちきゅうにいた守護竜しゅごりゅうおもかべました。


子狐こぎつねさんは、緋色ひいろっているかね」


 ちいさな子狐こぎつねしずかになってしまいました。


 つらそうにみずうみをみながら、つぶやきました。


「ボクのっている緋色ひいろ、いつもつらそうなの」


かなしいね。でも、それはりゅうかね? りゅういのちながさが子狐こぎつねさんとははなれているから、さみしいのだよ」


 ちいさな子狐こぎつねうえひろがる天空てんくうをみつめました。


「そうじゃないんだ。うまれてまだ300ねんくらいしか、いきてないんだ」


「そんな、まだ子供こどもどころか、あかぼうじゃないか。なにがそんなにかなしいのか」


「それに」



「もしこのほしにきたら、あかくてまるくてからだがおおきくなったから、くに王様おうさま討伐令とうばつれいをくだしてしまうよ」


「とうばつれい?」


くに王様おうさまがね、みんながこわがっているから、あのりゅう討伐とうばつしろ。とか、たおしたら、むすめ王女おうじょ結婚けっこんさせてやるっていうんだ。あいつら、いつもそうなんだ。王様おうさま命令めいれい絶対ぜったいなんだよ」


りゅうさんは、まだなにもわるいことはしていないだろう」


「なにもしていないよ。ヒトが危険きけんだとわかっていたら、人里ひとざとからはなれた場所ばしょむでしょう。でもりゅうはヒトがきだから、人里ひとざとはいっていってしまうんだ」


王女様おうじょさまらないひと結婚けっこんしてもいいとおもっているのかね?」


「ピーチクパーチクさわぐし、自分じぶんのことしかかんがえてない王女様おうじょさまだよ。おもどおりにならないと、まわりのひとうそはなして大泣おおなきするんだ」


「それは結婚けっこんする相手あいて可哀想かわいそうだね。ワガママだ」


あかくておおきくてまるりゅうさんのほうがずっと可愛かわいいいよ。あかくてはないけど、うろこ立派りっぱでキレイだよ」


地球ちきゅうへきそうなのかい」


「うん」


こまったね。わしたすけてあげたいが」


「もうすぐ、みずうみかがみとおして、まぼろしおくってくる。でも、それだけじゃ満足まんぞくしたりしないとおもう」


「そうじゃな。ひとあそぶつもりで、いのちうばうであれば大変たいへんだ」


 神様かみさまちいさな子狐こぎつね作戦さくせんをねることにしました。


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