グリフォンとちいさなトモダチ

Lesewolf

第1話「グリフォンとちいさなトモダチ①」

 

 むかし、むかしのおはなしです。


 セシュール大陸たいりくよりはるか遠いとおい場所ばしょに、あお世界せかいがあります。


 おおきなおにいさんである守護竜しゅごりゅうのちいさなおとうとは、みずうみをぼんやりぼんやり見つめていました。


 そこへ、グリフォンの子供こどもりてきていいました。


「リュウさん、どうしたんだい」


 すると、ちいさなりゅうはこたえました。


「あのをみてる」


「あのコ?」


 グリフォンはキョロキョロしましたが、だれもいません。


「どこのコ?」


 すると、ちいさなりゅうはいいました。


みずうみかがみだよ」


 グリフォンはこまってしまいました。なぜなら、みずうみかがみりゅうにしかみえないからです。


 みず加護かご必要ひつようなのです。


「キミは、ミズウミカガミをみているのだろう。ボクらにはみえないよ」


「そうだった。どうしよう」


「なにがみえるの?」


しろい、おおかみさんだよ」


 グリフォンはタウぞくがうるさくしているラダぞく守護獣しゅごじゅうおもかべました。


「そのコがどうしたの?」


 ちいさなりゅうしずかになってしまいました。


 つらそうにみずうみをみながら、つぶやきました。


「あのすぐんじゃうの」


かなしいね。でも、そのコはりゅうさんとはいのちながさがはなれているから、仕方しかたがないよ」


 ちいさなりゅうしたひろがる草原そうげんをみつめました。


「そうじゃないんだ。うまれて3日みっかんでしまったこともあるんだ」


「そんなあ。かわいそう」


「それなのに」



「おおかみさん、からだがおおきくなったから、くに王様おうさまから討伐令とうばつれいがくだったんだ」


「とうばつれい?」


くに王様おうさまがね、みんながこわがっているから、あのおおかみ討伐とうばつしろ。たおしたら、むすめ王女おうじょ結婚けっこんさせてやるっていったんだ。王様おうさま命令めいれい絶対ぜったいなんだよ」


「おおかみさんは、そんなにわるいことをしたの?」


「なにもしていないよ。ヒトが危険きけんだとわかっていたから、人里ひとざとからはなれた場所ばしょすんんでいたのに、ヒトがはいっていったんだ」


「オウジョサマはカワイイの?」


「ピーチクパーチクさわぐし、自分じぶんのことしかかんがえてないよ。おもどおりにならないと、まわりのひとうそはなして大泣おおなきするんだ」


「それはカワイイとはいえないね。ワガママだ」


「おおかみさんのほうがずっと可愛かわいいいよ。しろくて毛並けなみもふさふさでキレイだよ」


たすけてあげないの?」


「うーーーん」


たすけてあげようよ。ボクもたすけたい」


「よしきた! みずうみかがみとおして、まぼろしおくろう!!」


 グリフォンとちいさなりゅう作戦さくせんをねることにしました。


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