第6話 ピチュピチュの特訓

幾度かのスケルトン系モンスターと遭遇した私たちは、少し広い部屋の小休止をとっていた。

 そして、ここぞとばかりに私はピチュピチュの特訓を始めることにする。


「お嬢様、いったい何を……?」


 ちょうどいい場所を見つけた私は、ガシガシと廃坑の床を掘り出し始める。そんな私に、驚きに目を丸くしたレーゼがきいてくる。


「穴を掘ってます。さあさあ、レーゼは休んでいて」


 ここまでスケルトン相手に大活躍だったレーゼを労る。

 バウバウ=バウも敵の撹乱に動いてくれていたが、スケルトンは相性的にあまりよく無いので、一番の功労者はレーゼだった。

 その分、穴掘りを手伝ってくれるバウバウ=バウ。そのお陰であっという間に望むサイズまで広がる穴。


「さあ、ピチュピチュ、特訓よ!」

「チュン!」


 私の掛け声と共に掘られた穴へとダイブするピチュピチュ。

 私が指示するまでもなく、何をすればいいのかわかるようだ。

 掘られた穴のなかにたまっているのは、サラサラの砂だった。その砂のなかでパタパタと羽を広げ転げ回るピチュピチュ。


「いいこねー。さあ、もっと勢いよく砂浴びするのよー!」

「チュンー!」


 ポカンとした顔で私とピチュピチュを眺めるレーゼ。


「砂浴び……ですか?」

「そうよ。ここの部屋の砂には高濃度の火属性が宿っているのよ。いまどんどんピチュピチュの火属性が上がっているわ」


 私とレーゼが話している間にも、羽をパタパタさせていたピチュピチュに変化が起きていた。その羽先がうっすらと光り始めていく。


「いいわーピチュピチュ。特訓終了よー。よく頑張りました。偉い偉い」


 ブルッと体を震わせ、残った砂を落とすピチュピチュ。

 その姿は、砂浴びする前よりも明らかに赤色の割合が増えていた。


「レーゼは、十分休めたかしら?」

「──驚きすぎて精神的に疲れた気はしますが、体力は問題ありません」

「そう? それならいいかしらね。いよいよボスよー」

「正体不明の廃坑に巣くった主が近いのですか、お嬢様?」

「あ、そうそう。それそれ」

「──はぁ、わかりました」


 何故か呆れ顔のレーゼを先頭に、元気一杯のバウバウ=バウとピチュピチュを引き連れ、私たちは移動を再開するのだった。

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