第4話
俺は警察署や病院でのやり取りをした後、もう明け方になったけど、今日は休日なので鈴本に連絡を取り、彼の家に向かう。
あの後、付近を警察官が捜索したら、カメラを持っていて挙動不審な男がいたから職質をしたら、柊木に頼まれて俺と柊木のキス写真をとるところだったけど、俺が抵抗したから写真は撮れずにいたけど、柊木からは絶対に写真を撮るように言われていたので、チャンスを伺ってうろついていたらしい。
う〜ん。こちらとしては柊木の罪状が増えそうなので助かったけど、写真撮影班の彼はもっと臨機応変に考えることができないのかな?
よく知らないけど、あの彼は指示待ち人間とか言われる人なんだろうな
あの女性警察官さんも写真を撮らせるようなことを計画したことからも、柊木の罪は重くなるかもって話を聞いた。
俺は鈴本の家に向かっているけど、
足取りは重い。
鈴本はちゃんと受け入れてくれるかな。
ちゃんと抵抗したから大丈夫だろ。
柊木のスマートフォンを確認したら、まだ鈴本には何の連絡した形跡は見当たらないとのことだが、悪友が画像を送信しているかもしれないので、警察が柊木の悪友のカメラを調べたけど、俺(紅葉)が洗濯を干しているところの写真があったらしい。
その時は、手に持っている洗濯物は下着とかではなかったらしいけど、しつこい誘いと写真のダブルパンチでストーカー規制法には抵触すると判断できるなんて言っていたな。
優秀な弁護士相手だとまだ弱いかもしれないので、引き続き捜査はすると言ってくれた。
俺は紅葉を幸せにすると誓ったんだからな。
柊木への断罪はこれからも続けて行き、後は紅葉と鈴本との関係を構築だよな。
よくあるドラマとか映画だったら、こういった後って泣きながら男に抱きついたりするよね。
そう思うとほんとに嫌なんだけど・・・。
そりゃ、女子高生とか同姓でもハグしているところをたまに見るけどな。
俺には無理だよ。
しかも感極まって、キスとかされたらどうしよう?
吐くかもしれないな。
今の状況にはまったく関係ないんだけど、俺が不安なのは、いわゆる「女の子の日」って奴が不安なんだよな。
相当、キツイって聞くよね。
昔、職場でキツそうな女性がいて、これから重役との会議だなんていっていたから、なけなしの勇気を振り絞って代わったら、普段はモブ扱いの俺が、やけに感謝されたもんな。
見た目としても血が出るんだよね。
紅葉の記憶もあるけど、やっぱり怖えよ〜。
俺は色んな恐怖に怯えながら、紅葉の記憶を頼りに鈴本の家に向かう。
鈴本の家につくとインターホンを鳴らすとしばらくして、ドアが開き鈴本が顔を見せる。
「真也!」
俺は紅葉の記憶を頼りに鈴本を呼ぶが、駆け寄ろうとするが、鈴本の表情は襲われかけた婚約者に見せる表情ではなかった。
「何かよう?豊見城さん。」
「えっ?豊見城さんって何でその呼び方なの?」
鈴本も俺(厳密には俺じゃないが)のことは紅葉って名前呼びだったはずだ。
「だって柊木さんと食事に行ったんだろ?」
「確かに行ったけど、お酒も飲まなかったし、キスされそうになったけど、必死で逃げてきたよ!」
「えっ!キスしようとしていたの?!」
おや?君は間違った方向の鈍感系主人公かな?
「無理矢理されそうになったけどちゃんと逃げ出したんだよ。警察にも被害届を出したから、そんな顔をしないでよ!」
そんな汚物を見るような目で、紅葉を見るな!
大体、柊木のことは紅葉からお前にある程度、相談していたはずだろ!
紅葉(俺)は二の腕以外は傷は(痣だけど)ついていないぞ!
ちゃんと綺麗な身体だぜ!
「もう、豊見城さんのことは信じられない。別れよう。」
「えっ?!急すぎない?」
えっ?!急すぎない?
大事なことだから2回言いました。
「いや、僕はもう耐えられない。大体、君と付き合ったせいで、柊木さんからネチネチと文句を言われるのは辛いんだよ。」
鈴本のその言葉を聞いて、俺の顔はスンってなったと思う。
ふ〜ん。そういう態度とるんだな。
柊木はこれからはお前にはネチネチいえる立場にはならないと思うけどな。
良いさ。
俺も男なんかと付き合うのは気が重かったんだから、振られても悔しくないんだからな!
鈴本じゃなくて俺が紅葉を幸せにするからな!
「そう。わかった。じゃあ、申し訳ないけどさ。今から部屋に入らせて。荷物、引き上げるから。」
「えっと、今はちょっと・・・。」
「いや、気に入っている服もあるし、化粧品も安くはないからね。捨てられても困るかし。」
と、渋る鈴本に対し、少し強引に部屋に入る。
紅葉はたまに鈴本の家に泊まったりしていたから着替えとか下着とかもあるし、変なことに使われたり、売られたりしたら嫌だからな。
俺は鈴本の部屋に入ると、紅葉の記憶を頼りに置いてあった紅葉の鞄やキャリーケースに服やら下着、化粧品などを詰める。
しかし、下着などは問題ないけど、なんか化粧品の減りが早い気がする。
こんなに使ったかな?
洗面所や風呂場に行くと紅葉の記憶にはないクレンジングや歯ブラシなどもあった。
まぁ、最近は男性もメイクするっていうし、メイク落としがあっても不都合はないよね。
俺はなんか気持ち悪くなり、紅葉が使っていた歯ブラシは捨てて行こうと思い、ゴミ箱のところにいくとそこには紅葉の記憶にはないストッキングが捨ててあった。
紅葉はこんなストッキングを履いていた記憶はないんだけどね。
おやおや?
もうヤンデレ後輩がきているのかなぁ?
だから、鈴本が紅葉の良い分を聞かず、別れを切り出し、部屋に入れるのも渋ったのか?
いや、待てよ。
ヤンデレ後輩は社長令嬢で出世頭だからな。この夏はまだ海外支社で勤務で、ブラック企業もびっくりの激務中だからな。日本にはまだ帰ってきていないはずだ。
俺は心の中でニヤリと笑う。
多分、古の悪代官と越後屋と同じくらいの暗い笑みだ。
幸運の女神は前髪しかないっていうけど、復讐の女神は毛羽毛現みたいに全身毛だらけらしいな。
後で、通帳が無いとか金銭が無いなんて言われたくないからな。
俺は自分が作った荷物の全景を撮影するついでに、紅葉以外の女性の残置物もこっそり写真を撮った。
荷物をまとめた俺は、鈴本の家の合鍵を渡した。
そして
「私の家の合鍵を返して。」
できるだけ冷たい口調でいう、鈴本は憮然としていて、少し渋った感じだった。
「私の家の合鍵を返して。」
もう一度言うと、合鍵を返してくれた。
ここで俺は返してもらった合鍵を確かめる。
鍵には番号があって、実物の鍵がなくても、番号だけで複製とかできるんだよ。
だから、淑女と一部の男性諸君、別れ話の時は鍵をちゃんと交換することをオススメする。
鍵交換は高いけど、自分の安全には代えられないからね。
もちろん、俺も合鍵を返してはもらうが、ちゃんと鍵は交換するつもりだ。
おや?
この鍵の番号は紅葉の家の鍵と違わないか?
俺は自分の持っている鍵を出して確かめる。
「これ。鍵の番号違うけど、本当に私の家の合鍵なの?」
俺がそう言うと鈴本は慌てて
「ごめん。間違えた。」
そう言って別の鍵を渡してきた。
お前は何本、合鍵持っているんだ?
俺は再度、鍵を確かめると今度は同じ番号なのでポケットにいれる。
「さようなら。」
俺がそういうと鈴本が
「ほんとに行くのか?僕を捨てるのか?柊木のとこに行くんだろ!」
はぁ〜!?
捨てたのはお前だろ!
「行かねぇよ!ばぁか!」
鈴本は紅葉からこんなキツイ言い方で言われたことはないので、ショックを受けていた。
あ〜!スッキリした!
鈴本のあの感じだと、別の女がいそうだから、紅葉と別れても大丈夫そうだな。
あの残置物の主はどんな女なのかな?
まぁ俺には関係がないことだ。
俺はヤンデレ後輩の情報は、アニメで知っているからな。
海外支社から彼女が帰ってきたら、先にコンタクトを取って、鈴本には別の女の影があるみたいなことを言ってやろうか?
あのヤンデレ後輩は話せば、意外とマトモだし、弱い立場の人間には優しいところもあるからな。
さっきまでの鈴本の態度や紅葉への扱いを言えば、俺には攻撃はしてこないかもしれない。
それはそうと、鈴本や柊木そして柊木の悪友には、家を特定されているからな。
警察には被害届を出しているけど、
アイツらはしつこいからな。
鍵交換や最終的には引っ越しもしないとな。
俺は紅葉を幸せにするんだ。
この女性の身体に慣れつつ、人生を謳歌たいな。
紅葉の娘には会いたいからな。
それには頑張って、男にも慣れないとな。
俺はうげ〜としながらも、これからの未来に思いを馳せた。
「紅葉、鈴本との幸せな家庭を築けなくて、済まないな。」
俺は自分の中に居るであろう紅葉に話しかけ、そして誓う。
「でもさ、俺は病める時も、健やかなる時も、いつ如何なる時も死が俺達を別つまで・・・。いや、俺達の場合は死んでも一緒にいるかもしれないな。必ず紅葉を幸せにするよ」
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スッキリとはしないところもあるかと思いますが、以上でこの話はおしまいです。
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